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第4章 環境影響評価制度に関する論点整理
 
1.総論的事項
 
(1)環境影響評価制度の目的
今回の答申において、環境影響評価制度の目的としては、事業に関する環境影響について調査、予測、評価を行う手続を定めるとともに、その結果を当該事業の許認可等の意思決定に適切に反映させることとなっている。目的自体について妥当なものであると考えるが、制度全体としては、地域の自然的、社会的状況への適切な配慮が可能となるような仕組みとすることが必要である。
(2)制度の形式
環境影響評価制度については、適切な環境配慮を行うため、今後益々重要な手続となる一方で、行政手続法の制定により行政指導の限界が指摘されていることから、法律による実効性ある制度を設けることが必要である。
国の環境影響評価制度が法制化されることにともない、既に条例に基づく環境影響評価制度を推進している地方公共団体にあっては、国の制度との整合性を図ることが必要となる。その際、既存の地方公共団体の制度が後退することのないよう、法律と条例の関係を明確にした土で、一定の範囲内で、いわゆる「上乗せ」、「横出し」、「裾出し」が認められるようにすべきである。
また、国の制度においても行政指導の限界等を理由に法制化されることにかんがみ、現在、要綱に基づいて行政指導べ一スの環境影響評価制度を推進している地方公共団体においても、条例化を進めることが望ましい。
 
2.早期段階での環境配慮と環境影響評価の実施時期
 
(1)事前手続
地方公共団体においては、事前指導や助言等既に何らかの形で事前手続を行っているところが多いため、事前手続制度を導入することにより、地方公共団体が重要な役割を果たすべきである。導入に際しては、情報提供の手段として、あるいは情報を聴取する前提として、例えば「環境影響評価実施計画書」のような書類作成を義務づけることが必要である。
(2)上位計画、政策に係る手続
上位計画、政策に係る環境影響評価の手続については、今回の法制化において導入を見送るのはやむを得ないと考えるが、内部手続として行っている地方公共団体もあることから、今後具体的な検討を進める必要がある。
 
3.対象事業
 
(1)対象事業の範囲
?国の環境影響評価制度の対象事業については、答申にある通り、(ア)規模が大きく環境に著しい影響を及ぼすおそれがあること、(イ)国が実施し、または許認可等を行うものであることを要件として定めることが適当である。また、環境影響評価制度を実効あるものとするためには、許認可等を行う者は許認可等に当たって環境影響

 

 

 

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