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9.評価後の手続
 
(1)評価後の調査等
予測の不確実性を補う評価後の調査等について、環境影響評価制度の中に位置づけることが適当である。この場合、評価後の調査等の項目等について個別の事業ごとに柔軟な対応ができるよう、事業者が評価後の調査等に関する準備書・評価書に記載する仕組みが適切である。
(2)手続の再実施
環境影響評価手続の終了後、長期間未着工の事業や着手後長期間休止する事業等について、環境が大きく変化している等の場合に、環境影響評価手続を再実施できることとするのが適当である。
 
10.国と地方公共団体の関係
 
  1. 国の制度と地方公共団体の制度の調整
  2. 国の制度の対象事業については、国の手続と地方公共団体の手続の重複を避けるため、国の制度による手続のみを適用することが適当である。ただし、スコーピング段階、準備書段階などにおいて地方公共団体の意見を聴取することにより、地域の自然的社会的特性に応じた環境影響評価が実施されるよう、制度の運用面における配慮を行うことが適当である。
  3. 国の制度における地方公共団体の役割
国の制度において、地方公共団体は、地域の環境保全に関する事務を所掌する等の立場から、関連情報を提供し、準備書等に意見を述べるとともに、住民への周知手段を有する等の立場から、事業者等が行う準備書等の周知に協力することが期待される。
 
11.環境影響評価を支える基盤の整備
 
国が中心となって、環境の現況に関する情報、調査予測等の技術手法に関する情報、環境影響評価の事例に関する情報等を、電子媒体の活用等も図りながら、組織的に収集・整理・提供することが適当である。また、技術手法や知見の進展の環境影響評価制度への迅速な取入れ、新しい関連技術手法の開発、幅広い知識と技術を備えた調査等の従事者の育成・確保等を図っていくことが必要である。
 
12.おわりに
 
国、地方公共団体、事業者、国民が、環境影響評価の趣旨についての理解を深め、それぞれの立場に応じた役割を果たすことにより、環境影響評価に関する手続が適切かつ円滑に行われ、事業の実施に際し環境の保全について適正な配慮がなされることを期待する。

 

 

 

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