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(2)無害通航の要件
外国船舶の領海における無害でない通航の要件を国内法化していない。それは、無害通航の概念が国際法上確立しているので、一般に、国際法に反しない限りにおいて国内法を定める必要はないという理由に基づく。
ただ、国連海洋法条約第19条第2項に規定する行為については、将来、国内法において規定されることになるかもしれない。
 
2 接続水域関係
(1)「接続水域」の設定
接続水域は、カナダ海洋関係法第10条において、通関上、衛生上、出入国管理上、財政上の分野での規制を行うこととしている。規定しているが、現段階では、いまだ法案に止まるので、接続水域は設定されていない。同様に、排他的経済水域についても、同法に定めることとしているが、現在は、200海里について漁業水域という形態で設定されている。
出入国管理上の取締りは、労働省所管の特別法により、密入国の取締りが行われている。現実の取締り手段は、Memorandum of Understanding に基づき、連邦警察、移民局、海軍、沿岸警備隊らが協力して行う。沿岸警備隊は、船舶の航行を任務とするので、警察権限は、上記の各警察機関がこれを行使し、沿岸警備隊としては不法入国を現認した場合、船舶の航行を差し止め(たとえば、書類の検査など)、その間に連邦警察などへ連絡して、右警察機関がこれを取り締まる。法理論上は、法令違反を現認した場合、現行犯逮捕は可能であるが、沿岸警備隊は、武器を所持していないので、実力行使は現実にはなしえない。
 
3 供託金(ボンド金)による早期釈放関係
(1)外国船舶の漁業違反事犯に対する執行権限
1995年4月1日に政府機関の組織変更があり、漁業省から沿岸警備隊に漁業取締局が移管されることとなった。その結果、沿岸警備隊の船舶に漁業取締官が乗船して違法な漁業活動の取締りを行うこととなった。

 

 

 

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