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国内行政法上の規制の仕組みは弱いもの(例えば「届け出」制)にならざるを得ないであろう。もっとも、国内行政法令では、「届け出」義務違反に対する制裁は行政罰の場合が多いが、海洋における法執行の実効性確保という意味では、刑事罰による担保が必要とも思われる。
 
〔5〕おわりに
以上、わが国の排他的経済水域・大陸棚における「海洋科学調査」について、国内法令を整備する場合に考えられる問題点の幾つかについて検討した。本報告では言及できなかったが、海洋環境の保全に関する法制度も重要であるし、人工島・海洋構築物に関する立法措置の問題等もある。国連海洋法条約を日本国内で実施するために施行された関連法令は、漁業水域暫定措置法による200海里漁業水域のスキームなど従前のわが国の海洋法制の基本的枠組みを維持する形で、必要な手直しをしたという性格が濃いように思われる。これもまた繰り返し指摘されたことであるが、国連海洋法条約の内容を正面から受けていわば総合的海洋法令というべき国内法の整備を行なうことの要請は、従来にも増して高まっていると言える(11)
〔注〕
(1)参照、山本草二『国際法(新版)』405頁以下、栗林忠男『注解国連海洋法条約下巻』158頁以下、鷲見一夫「海洋科学調査と海洋法の最近の動向」横浜市立大学紀要法学編2巻1号など。
(2)栗林・前掲書166〜167頁。
(3)山本・前掲書405〜406頁。
(4)栗林・前掲書166頁。
(5)村上暦造「海上における警察活動」成田頼明・西谷剛編『海と川をめぐる法律問題』63頁以下。
(6)村上・前掲論文65〜70頁。
(7)日本の行政強制論の問題点について、塩野宏「行政強制論の意義と限界」『行政過程とその統制』202頁以下、広岡隆「即時執行」『現代行政法大系2−行政過程』293頁以下、畠山武道「行政強制論の将来」公法

 

 

 

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