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の海上警察の法的システムには、多くの検討課題が残されていることになろう。
〔3−3〕国内法の在るべき姿
以上の検討から、排他的経済水域・大陸棚における「海洋科学調査」(とりわけ外国船舶・航空機等による調査)について、日本の海上保安庁等の執行機関による有効な措置を行なうための法的仕組みの構築には、行政法理論上難しい課題をクリアーする必要があることが明らかになった。そうすると、現状の日本の行政法規を前提とする以上、純粋な「海洋科学調査」の規制システムは、排他的経済水域・大陸棚における漁業資源・鉱物資源に係る既存の規制システムのいわば付随的・反射的なものという形に留まらざるを得ないのであろう。
それでは、今後、国連海洋法条約に対応した日本の国内法令を整備するとして、それはどのような方向で行なわれるべきか。報告者は、日本が沿岸国として管轄権を及ぼし得る海洋・大陸棚について、(日本の行政法理論で言うところの)公物管理・公物警察法として理論構成することが望ましいと考える。すなわち、例えば海洋管理法・大陸棚管理法といった形態の法令を作り、その中で、一種の公物たる海洋・大陸棚の利用関係の側面から、必要な規制手法と法執行作用のシステムを根拠づけるべきではないか。漁業資源や鉱物資源の管理、あるいは(本報告では言及していないが)水質保全といった公益を前提とする規制システムと同じタイプの法的仕組みは、「海洋科学調査」の規制システムで想定される公益の性格からして、「海洋科学調査」については採りにくい。また、通常の海上警察活動ということになると、実力行使を伴うような措置が消極目的のものに限定されるし、直接強制や即時強制のシステムを仕組むのが難しい。
さらに、本報告では取り上げていないが、国連海洋法条約との関係では、例えば排他的経済水域における海洋構築物に対する規制システムなど、国内法令での対応が難しいと思われる法制度の構築も議論する必要がある。その場合に、わが国の管轄権の及びうる海洋について、これを全体としてカバーする海洋管理法制がまず第一に必要になるし、具体的には、公物管理法、すなわち、公物たる海洋管理の基本法という形態を採ることになるのではないかと思われ

 

 

 

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