行使に対する消極的態度に起因するものと思われるが、海洋投棄の規制を適用範囲の場所的拡大によってカバーする方法が適切かどうかは、なお検討する必要があるものと思われる。
第三に、EEZ適用関係政令第2条第5項によれば、海防法第6章の規定は、「特定外国船舶については、適用しない」こととした点である。海防法第6章は、海洋の汚染及び海上災害の防止措置として、事故に伴う油等の大量流出によって海洋環境の汚染を防止するための措置について規定している。この規定の大部分は、国際条約に基づくものではなく、我が国独自の判断で設けられたものであることから、EEZ及び大陸棚に適用しないこととされたものと考えられる。国際条約に根拠を有する通報関係規定や、公海介入権に関する条項は、適用することとされている。しかし、船舶の通常運航に伴う汚染ではなく、事故に伴う大規模汚染であることから、EEZ及び大陸棚においてこれらの措置をとるべきでないと、直ちに判断すべきかどうかはなお検討する必要があろう。
また、公海介入権条約を受けた海防法第42条は、従来公海上にも適用があるものと解されてきたところであるが、今回の改正により、我が国のEEZ及び大陸棚に適用がある旨は明示されたものの、逆に公海上の適用については不明確になったとも考えられる。なお、検討が必要と思われる。
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