規定をこれら海域にそのまま拡大したものである。執行管轄権についても、国連海洋法条約第12部第7節に定める保障措置を遵守した形で、行使することが可能となったものと解される。
? むすびに代えて
以上、簡単に概観したように、我が国の設定したEEZ及び大陸棚に関しては、海防法は国連海洋法条約に適合した形で適用されることとなった。領海外が公海として、立法管轄権及び執行管轄権の行使に関して旗国主義が適用されていたときに比べ、大きな変革を遂げたということができよう。ただ、逆に、管轄権が拡大に伴って、権能行使が複雑になると共に、いくつかの未解決の問題も残っている。今回の国内法整備にあたって、海防法が、国連海洋法条約の認める権能をすべてにわたってカバーしたわけではないことを指摘しておきたい。
まず第一に、国連海洋法条約が船舶起因汚染に関して認めた権能は、沿岸国管轄権よりも寄港国管轄権に重点があったと考えられるが、今回の海防法の適用拡大はEEZ及び大陸棚への場所的拡大にとどまっている。寄港国管轄権については、船舶の設備構造に関するものと排出違反に関するものとに大別でき、このうち、船舶の設備構造に関する部分は、国連海洋法条約以前にMARPOL73/78条約が既に採用しているところであった。したがって、国連海洋法条約にみられる変更は、排出違反に対する寄港国管轄権を認めたところにあるが、今回の国内法整備にあたっては、この点をどのように解するのかが問われなければならない。
第二に、海洋投棄に関しては、旗国管轄権、領域管轄権と並んで積出国管轄権を行使する責務が締約国に負わされていることは、先に指摘したとおりである。海洋投棄による海洋環境の汚染を防止するために、最も効果的な方法が積出国による規制であると考えられる。しかし、この点について、海防法は、ロンドン海洋投棄規制条約の国内法化の際に対応せず、また、今回の国連海洋法条約の際にも、特段の措置をとってはいない。基本的には、我が国の許可権限
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