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裁量が認められることから、海防法の定める排出及び設備構造に関する基準も、完全に国際条約たる上記諸条約に合致したものではなく、いくつかの点で国内法独自の基準を盛り込んでいたのであった。
(2)EEZへの海防法の適用
このたび、EEZ・大陸棚法によって海防法は、「日本船舶」、「領海内の外国船舶」に加えて、「EEZ内の外国船舶」にも適用されることとなった。しかし、EEZ内の船舶起因汚染に関する沿岸国の立法管轄権は「国際規則及び基準に適合しかつこれを実施するもの」に限られる。そこで、海防法では、「我が国の排他的経済水域にある外国船舶」を「特定外国船舶」として特定し、これには国際条約に定める基準のみを適用するための修正を加えた(EEZ適用関係政令第1条)。ただし、EEZにある外国船舶であっても、我が国の大陸棚における天然資源の探査及び開発並びに我が国の大陸棚の掘削に従事しているものは「特定外国船舶」から除かれる。探査開発及び掘削に従事する船舶による汚染が、船舶起因汚染の範劇には属さず海底活動起因汚染に属することから、国家管轄権の構造が異なるためである。国際条約に定める基準と海防法が国内独自の基準として定めていたものとが異なるために、EEZ内の外国船舶にそのまま適用しないこととしたのは、概略、次のような項目である。
(排出基準関係)
? 400G/T未満のノンタンカーからの油の排出(EEZ適用関係政令第2条第1項)
? 400G/T未満のノンタンカーの油記録簿(EEZ適用関係政令第2条第2項)
? 150G/T未満のタンカーの油記録簿(EEZ適用関係政令第2条第3項、EEZ適用関係省令第2条第3項及び第4項)
? 400G/T未満のタンカーからのビルジ等の排出にあたっての装置の作動(EEZ適用関係省令第2条第1項)
? 400〜1万G/Tの船舶からのビルジ等の排出にあたっての装置の作動(EEZ適用関係省令第2条第2項)

 

 

 

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