をEEZという海域毎に沿岸国に配分したものというべきであろう。
(3)EEZに関する船舶起因汚染に関する執行管轄権
国連海洋法条約は、沿岸国の執行管轄権行使を直接に規制している。特に、EEZにおける外国船舶による排出違反に関しては、沿岸国は、「違反したと信ずるに足りる明白な理由がある場合に」情報提供要請を行うことができ(第220条(3))、「違反により著しい海洋環境の汚染をもたらす実質的な排出が生じたと信ずるに足りる明白な理由がある場合で、かつ、情報提供を拒否したときに」船舶の物理的検査に移行することができ(第220条(5))、「違反により自国の沿岸・関係利益又は自国の領海・EEZの資源に対し著しい損害をもたらす排出が生じたとの明白かつ客観的な証拠がある場合に」船舶の抑留を含む処罰手続をとることができる(第220条(6))。したがって、EEZ内の違反について、沿岸国が執行権能を行使することができるのは、その要件に応じた執行権能が認められているにすぎない。
さらに、執行管轄権行使に対しては、一定の保障措置に従わなければならないこととされている(国連海洋法条約第12部第7節)。
2 海防法の船舶起因汚染関係の規定
(1)従来の海防法の適用範囲
従来の海防法の適用範囲と適用対象については、法律自体が明定していなかった。たとえば、海防法第4条第1項本文は、「何人も、海域において、船舶から油を排出してはならない」と規定していたため、文理上は、すべての海域におけるすべての船舶に対して、日本船舶及び外国船舶の別なく適用できるという解釈も可能ではあった。しかし、法律及び政省令の定める基準は、1954年以来のOILPOL条約そしてMARPOL73/78条約に定めるものを国内法に盛り込んだものであり、その適用範囲は、おのずから、旗国としての日本船舶と領水内のすべての船舶であると解されてきたところであった。つまり、海防法の適用に対する考え方としては、原則として、旗国主義と領域に対する領域主義(属地主義)に基づいていたわけである。この旗国主義及び領域主義という国家管轄権行使の原則の採用は、管轄権行使に広く
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