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(4)海防法のEEZへの適用の構造
海防法は、船舶から海域に排出される油、有害液体物質及び廃棄物の規制を行っているが、その規制対象は、運航に伴って船舶内で発生する油、有害液体物質及び廃棄物と、陸上発生廃棄物を船舶に積み込んで海洋に投棄する廃棄物等の両者を含んでいる。これは、海洋法条約の区分でいえば、船舶起因汚染と海洋投棄の両者を規制対象としていることになる。この二つは、国連海洋法条約上で認められる国家の権能が異なっているために、海防法の適用についても、別々に検討しなければならない。
また、海防法は、汚染源としての船舶の外に、汚染源として「海洋施設」を対象としている。この点についても、海洋法条約の区分でいえば、船舶起因汚染と海底活動起因汚染及び海洋構築物起因汚染の両者を規制対象としている。この点においても、国連海洋法条約の区分に従った管轄権行使が求められることになる。
さらに、海防法は、大規模油流出事故に対する沿岸国の介入権行使に対応するために、第42条を有しているが、これはもともと1969年の公海介入権条約に認められた管轄権に対応するものであった。この点については、国連海洋法条約は「この部のいずれの規定も、著しく有害な結果をもたらすことが合理的に予測される海難又はこれに関連する行為の結果としての汚染又はそのおそれから自国の沿岸又は関係利益(漁業を含む。)を保護するため実際に被った又は被るおそれのある損害に比例する措置を自国の領海を超えて慣習上及び条約上の国際法に従つてとり及び執行する国の権利を害するものではない」(第221条(1))と定めた。
このような区分を前提とするならば、海防法のEEZへの適用については、船舶起因汚染、海洋投棄、大陸棚開発等海底活動起因汚染のそれぞれについて検討する必要がある。

 

 

 

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