違反がある場合に準用する。」と規定し、これを受けて、我が国の排他的経済水域法3条1項4号は、排他的経済水域又は大陸棚における我が国の公務員の「職務の執行に関してこれらの水域から行われる国連海洋法条約第百十一条に定めるところによる追跡に係る職務の執行」に関しては、「我が国の法令(罰則を含む)を適用する」と規定している。
追跡権は、本来、沿岸国の国内法令の実効性を確保するために、その領域主権に服する海域(内水、領海)内で開始された管轄行為の継続を認めるという趣旨から旗国主義の例外として認められたものであり、領域的利益を保護する保護する必要から生まれたものである(18)。
そこで、接続水域からの継続追跡権については、それが領海・内水内の違反の場合に限定されるのか、接続水域内で違反があった場合にも行使されるかについては周知のような見解の対立があり、それは、結局、接続水域の法的性格をどのようにとらえるかの問題に帰着する(19)。すなわち、接続水域を(沿岸国の法益保護強化の点を重視して)沿岸国の法秩序の効力範囲の拡大とみればこれを肯定できるし、逆に、(公海自由の原則を重視して)領域内で実行された違反行為について執行措置を取り得るだけの海域とみれば否定論となる。
これに対して、排他的経済水域は、沿岸国がこの海域の経済的な開発と探査のための活動についての主権的権利を認められたものであり、接続水域と異なり単に沿岸国の領域内の法益を保護するための水域ではなく、本来は、沿岸国の排他的漁業管轄権を拡大することにその大きな狙いがある。そこで、漁業に関しては、国連海洋法条約73条1項で「沿岸国は、……主権的権利を行使するにあたって、この条約に従って制定する法令の遵守を確保するために必要な措置(乗船、検査、拿捕及び司法上の手続きを含む。)をとることができる。」とされ、この条約に従って制定される国内法令であれば、その違反は沿岸国によって処罰することができるとしている。したがって、排他的経済水域の設定によって保護しようとする利益の侵害があった場合には、排他的経済水域からの追跡も当然認められると考える。
この点を明らかにしたのが、排他的経済水域法3条1項4号で、排他的経済水域から行われる追跡に係る職務の執行の根拠は、海上保安庁法や刑事訴訟法
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