日本財団 図書館


るものとして適用を除外している。
また、排他的経済水域法3条1項4号は、天然資源の開発等に関する「排他的経済水域……における我が国の公務員の職務執行及びこれを妨げる行為」については「我が国の法令(罰則を含む)を適用する」と規定している。これは、旧漁業水域暫定措置法4条が「外国人が漁業水域において行う漁業及び水産動植物の採捕に関しては……我が国の法令を適用する」と規定していたため、そこに、漁業関係法令のほかに、漁業に関する法令を実行あらしめるための刑罰法令が含まれるかについて議論があったが、この点を立法的に解決したものであるといってよい。すなわち、同法3条1項1号で適用される国内法令は「天然資源の探査、開発、保存、管理」に関する事項に限定されているから、この規定を根拠に域外適用される刑罰法規は漁業関係法令違反の罰則であり、他方、3条1項4号は、漁業関係法令を実効あらしめるための刑罰法令、より具体的には、職務の執行を妨げる行為に限定して罰則を域外適用することを明らかにしたものである。
(3)公務執行妨害罪・検査妨害罪の域外適用
排他的経済水域法3条1項4号は「我が国の公務員の職務の執行及びこれを妨げる行為」に我が国の法令を適用すると規定している。このうち、「公務員の職務の執行」とは、海上保安官、漁業監督官等の我が国の公務員によって行われるこれらの水域において適用される具体的法令の規定に基づく行政措置やこのような具体的法令の規定に違反する行為をした者に対する検挙、捜査等の活動である。そこで、「公務員の職務の執行」について適用される法令とは、具体的には、海上保安庁法、刑事訴訟法などの公務員の職務執行の根拠となる法令である(6)
また、「職務執行を妨げる行為」とは公務員の職務の執行を妨害する行為であり、これに対して適用される刑罰法令としては、刑法95条の公務執行妨害罪及び漁業法141条の漁業監督公務員に対する検査拒否等罪をあげることができる。
漁業法74条1項は、国家公務員である「漁業監督官」と地方公務員である「漁業監督吏員」の両者を漁業監督公務員として規定し、漁業取締の執行機

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION