海上保安庁法(以下庁法と略)第18条の規定は次の通りである。
「海上保安官は、海上における犯罪が正に行われようとするのを認めた場合又は天災事変、海難、工作物の損壊、危険物の爆発等危険な事態がある場合であって、人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害が及ぶおそれがあり、かつ、急を要するときは、他の法令に定めのあるもののほか、次に掲げる措置を講ずることができる。
一 船舶の進行を開始させ、停止させ、又はその出発を差し止めること。
二 航路を変更させ、又は船舶を指定する場所に移動させること。
三 乗組員、旅客その他船内にある者を下船させ、又はその下船を制限し、若しくは禁止すること。
四 積荷を陸揚げさせ、又はその陸揚げを制限し、若しくは禁止すること。
五 他船又は陸地との交通を制限し、又は禁止すること。
六 前各号に掲げる措置のほか、海上における人の生命若しくは身体に対する危険又は財産に対する重大な損害を及ぼすおそれがある行為を制止すること。
2 海上保安官は、船舶の外観、航海の態様、乗組員、旅客その他船内にある者の異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して、海上における犯罪が行われることが明らかであると認められる場合その他海上における公共の秩序が著しく乱されるおそれがあると認められる場合であって、他に適当な手段がないと認められるときは、前項第一号又は第二号の掲げる措置を講ずることができる。」
さて、庁法第18条は、国連海洋法条約を、我が国が批准するに際して、その関連法の改正の一環で、平成8年法律第75号(海上保安庁法の一部を改正する法律)によって、大幅な改正がなされたわけである。大雑把な改正のあらましは、「海上保安官は、海上における犯罪が正に行われようとしている場合又は天災事変等の危険な事態が存在する場合であって、人の生命、財産等に危害が及ぶ恐れがあり、かつ、急を要するときには、船舶の進行の開始、停止若しくは出発の差止め、航路の変更若しくは指定する場所への移動、乗組員の下船、積荷の陸揚げ、他船との交通制限又は海上における人の行為の制止等の措置を
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