と、行政手段による対応とが考えられる。
刑事手段による対応とは、当該入域船舶が、何らかの国内法令に違反していることを理由に検挙して、裁判によって有罪を獲得すべく対応することである。これに対して、行政手段による対応というのは、主として、海上保安庁法第18条を適用することによって、強制的に入域している船舶を排除するというように、場所的移動を強要する対応の仕方ということになろう。紙数の都合もあり、ここでは、刑事手段による対応については、入域船舶による各種の違法行為に対応可能な法令を調査し、そのリストを掲げておくに止めておきたい。
(1)緊急入域の要件を満足しない船舶に対する国内法令の適用(刑事手段)
? 船舶法(明治32年法律46号)、第3条(不開港場寄港)、罰則第23条
? 検疫法(昭和26年法律201号)、第4条(入港等の禁止)、第23条(緊急避難)、罰則第37条
? 関税法(昭和29年法律61号)、第15条(入港手続)、第20条(不開港への出入)、罰則第113条、114条
? 外国人漁業の規制に関する法律(昭和42年法律60号)、第4条(寄港の許可等)、罰則第9条
(2)入域後秩序を乱している船舶に対する国内法令の適用(刑事手段)
? 出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令319号)、第9条(上陸許可の証印)、第17条(緊急上陸の許可)、第18条(遭難による上陸の許可)、罰則第70条
? 港則法(昭和23年法律174号)、第12条(航路)、第13条、罰則第39条、第24条、罰則第41条
? 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(昭和45年法律136号)、第10条(船舶からの廃棄物の排出の禁止)、罰則第55条
? 軽犯罪法(昭和23年法律39号)、第1条(軽犯罪)、七号、十四号、二十七号
? 刑法(明治40年法律45号)、第261条(器物損壊等)
(3)緊急入域要件を欠くか入域後秩序を乱している船舶に対する海上保安庁法第18条の適用(行政手段)
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