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(注)
(1)海上保安庁、海上保安の現況、平成8年11月、17頁。
(2)海上保安庁監修、緊急入域ハンドブック1頁。
(3)緊急入域が許可制ではないことから、海上保安庁では、無線による事前通報に対する回答として、入域の場合は、You may enter for emergency.と回答し、入港の場合には、We are agreeable to your making port for emergency.と回答しているという。
(4)藤岡賢治、海難政策論(改訂版)357−8頁、平成6年4月。
(5)第136回国会衆議院運輸委員会議録第11号3頁、第1類第10号、平成8年5月15日。
(6)第136回国会衆議院農林水産委員会議録第11号5頁、第1類第8号、平成8年5月15日。
 
3.事前通報制度の検討
緊急入域制度の実態把握の方法としては、事前通報制度と許可制度とが考えられる。我が国は、「真に緊急入域の要件に該当する船舶については、国際慣習法上認められた行為として入域させる。」としてきており、そして従来から、外国船舶に対して事前の許可を得るよう求めてはこなかったという経緯からも、実態把握の方法としては、事前通報制度が妥当であろう。緊急入域についての事前通報制度の必要性については、すでに前項で詳しく触れたところではあるが、「海洋法条約に係る海上保安法制第2号」でも、「入域に際する通報義務の是非及び緊急入域の要件を満足しているか否かの確認行為等、緊急入域船舶に対する権限行使等如何については各国の判断に委ねられていると解すべきであり、条約においても、その判断を規制する基準となる規定は設けていない。」し、「国際慣習法上の緊急入域に加え、条約第18条第2項に規定する無害通航中の外国船舶が、不可抗力のため停船又は投錨する場合についても、入域船舶に通報義務を課すことは、特に条約上は否定してない以上、通念上妥当な範囲で認められるものと考えられる。」としている(1)。緊急入域を受け入れる沿岸国として、当該入域船舶の個別的実態を把握し、当該船舶が真に緊急入域の要

 

 

 

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