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航状態等を総合的に判断し、可能ならば最寄りの適当な入域場所(避難場所)を推薦又は指導する。
早期に避難する必要がある外国船舶の入域は、これを認める。但し、入域場所(避難場所)を指定する。国際慣習として確立されている緊急入域制度においては、「緊急且つ重大な危険を避けるため」、「不可抗力により」入域する外国船舶にのみ認められた制度であって、その要件は極めて厳格である。従って、早期に避難する船舶は、緊急入域の要件を満足する外国船舶ではないのであるから、我が国としては、海難予防のため並びにその他我が国の安全と秩序の維持のため入域場所を指定するなど必要な措置をとることができ、また、当該外国船舶はこれに従わなければならない。このような外国船舶は、避泊地の地理不案内である場合が多いので、我が国の複雑な地形と気象・海象の特徴を考慮し、適切な避難場所を指定し、避難方法を指示することが必要になる。さらに、我が国へ避難入域しようとする外国船舶が、油、液化ガス、ケミカル類等の有害危険物を流出しつつあり、或いは流出する可能性が大である場合にあっては、当該有害危険物の種類及び量から判断して、我が国国民の人命の安全、環境保全、漁業資源、船舶の航行安全等、我が国の安全、利益を害し、又は害する恐れが大であるときは、原則として入域を認めないものとする。なお、かかる船舶が避難入域を通報してきた場合において、当該船舶の乗船者の人命に危険があるときは、入域を認めると否とにかかわらず、人命救助を最優先に実施すべきことはいうまでもない。
? 通報及び通信連絡体制
事前通報及び出域通報の確実な励行。真に緊急入域事由のある船舶にあってはすみやかに(可能ならば事前に)、その他の避難入域船舶にあっては必ず事前に、一定の事項(入域理由等)を通報させるものとする。また、すべての入域船舶に対して出域した旨の通報を確実に励行させることとする。(従来、入域の際は通報する外国船舶は多々あるものの、出域の際は何の連絡もなく出域するものが多い。これでは、我が国として、避難入域している外国船舶を把握することができず、海難の予防、防止上支障があるばかりでなく、その他我が国の安全と秩序の維持の観点からも問題がある。)

 

 

 

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