(21)田中・前掲注(6)120頁。
(22)覚せい剤輸入罪の既遂時期については、陸揚げ説が通説であるといってよい。この陸揚げ説では、わが国領海内に入った時点ではいまだ輸入は既遂とならず、わが国領土に接岸したあと、現実に覚せい剤が船舶からわが国領土内に搬入された時点で既遂となる。判例も、覚せい剤輸入罪は、覚せい剤を船舶から保税地域に陸揚げしたことによって既遂に達するとする(最判昭和58・9・29刑集37巻7号1110頁)。したがって、わが国の領土に接岸した船舶内に覚せい剤を隠匿所持しているにとどまり、いまだ陸揚げに至らないうちに取締機関に発見された場合には、輸入の未遂罪に止まる。なお、覚せい剤取締法上の輸入罪は、陸揚げによってわが国領土内における覚せい剤の流通・拡散の具体的危険が実現すると解するところから、わが国領土への陸揚げによって成立するとするので、たとえば陸揚げした地域が保税地域であっても覚せい剤取締法違反としての輸入罪は直ちに成立すると解される(前掲最判昭和58・9・29参照)。
(23)田中・前掲注(6)121頁。
(24)秦野裕・第136回国会衆議院運輸委員会議録11号6頁。
(25)第136回国会衆議院会議録第23号2頁。
(26)秦野・前掲注(18)6頁。
(27)秦野・前掲注(18)17頁。
(28)渡辺修・職務質問の研究343頁。
(29)河上和雄・大コンメンタール警察官職務執行法(田宮=河上編)95頁参照。
(30)長崎地判昭和45・4・30刑裁月報2巻4号417頁。
(31)判決では、「弁護人らは、被告人両名は公海上で且つ外国船舶であるヨット「フェニックス号」上で逮捕されているが、原則としてわが国の主権の及ばない公海上にある外国船舶を拿捕し、その乗員を逮捕するには、公海に関する条約二三条に規定する追跡権の行使
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