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107頁参照。
(15)坂中英徳=斎藤利男・出入国管理及び難民認定法逐条解説15頁。
(16)福岡地判昭和34・4・25下刑集1巻4号1112頁。
(17)坂中=斎藤・前掲注(11)756頁。
(18)田中・前掲注(6)119頁。
(19)坂中=斎藤・前掲注(11)771頁。
(20)禁制品の密輸入行為には、保税地域を経由して行われる場合と、保税地域を経由しないで行われる場合とがあるが、関税法と関税定率法上「輸入」とは、外国から本邦に到着した貨物を本邦に引き取ること(保税地域を経由する場合は、保税地域を経て本邦に入ったこと)をいうとされている(関税法2条1項1号、関税定率法2条)。
判例も、保税地域を経由しない貨物の密輸入に関し、「正当な税関手続を経ないで外国貨物を本邦に陸揚げすること」によって同罪が成立するとしている(最決昭和33・10・6刑集12巻14号3221頁)。したがって、関税法上の輸入禁制品輸入罪の既遂時期は、保税地域を経由した場合には、保税地域から本邦に引き取られたときということになり、保税地域を経由しない場合には、陸揚げしたときに既逐となる。
なお、禁制品の密輸入に関する関税法上の犯罪の成否については、輸入禁制品に概当する貨物(21条1項1号)の密輸入行為は、禁制品輸入罪(109条)にあたる。ことに、覚せい剤の場合、従前、関税法118条3項に規定する輸入制限貨物などに該当するものは、その輸入にあたって、関税法の輸入許可手続を必要とし、その許可を受けないで覚せい剤を輸入したときは、無許可輸入罪(111条)及び関税ほ脱罪(110条)が成立した。しかし平成元年に関税定率法の改正によって、覚せい剤は、覚せい剤原料及び大麻とともに輸入禁制品とされたので、改正後は、関税法上、覚せい剤の密輸入行為は、禁制品輸入罪を構成することとなって関税捕脱罪は成立しないこととなった。

 

 

 

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