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もっとも、その後も、各国はなお財政・関税上の目的から、領海外の自国法益を保護する意図での法的措置をとったために、接続水域が、一般的な対抗力をもつ制度として確立するにいたったかにはなお解釈上の対立が残った。
なお、村上暦造「接続水域の設定と国内法」海洋法関係国内法制の比較研究第二号89〜90頁参照。
(3)山本・前掲注(1)236頁。
(4)領海条約の審議経過については、林久茂「接続水域の法的地位」海洋法条約に係る海上保安法制第1号62頁参照。
(5)国連海洋法上条約第33条と領海および接続水域に関する条約第24条との主な相違点は、領海の幅が3海里から12海里に拡張されたことに伴い、幅員が12海里から24海里へと拡張されている点で、沿岸国が行使しうる通関上、財政上、出入国管理上又は衛生上の法令違反を防止と処罰という権限については、変更が加えられていない。
なお、接続水域については、国連海洋法条約は第303条第2項において、海底から無断で考古学的または歴史的な物の持ち出しと取引を国内法違反と推定して取り締まりの権限を認めた点が、領海条約と大きく異なっている。
(6)山本・前掲注(1)240頁、林・前掲注(3)62頁、小田滋・注解国連海洋法条約上巻134頁など。
(7)田中利幸「接続水域─刑事法的視点から─」海洋法関係国内法制の比較研究第二号115頁。
(8)小田滋・海の資源と国際法?421頁以下。
このような沿岸国の権能の内容は、国家が国境で領域内の国内秩序を維持するために実施する事項であり、それに限定されているのであり、その法益保護のために領海外にも沿岸国の権能を及ぼすことができるというもので、接続水域自体の利益を保護するために漁業法令を適用したり領海と同じ地位を与えて接続水域境界線におい

 

 

 

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