きるとするが、その(b)は「自国の領土又は領海内で行われた法令の違反を処罰すること」であり、領海内での法令違反を前提とするので、接続水域の法的性質との関係では余り問題はないといってよいが、その(a)にいう「自国の領土又は領海内における通関上、財政上、出入国管理上又は衛生上の法令の違反を防止すること」としての規制の具体的内容が問題である。すなわち同条は、領海に向かって入ってくる外国船舶が対象となり、しかもそのような外国船舶は、いまだ領海に入っていないのであるから、領海内での国内法令の違反が現実に生じていない段階での、国内法令違反の防止のための措置を問題とするからである。
接続水域での法令違反を防止しまたは処罰するために行う「規制(control)」の具体的内容について、国際法上、従来から解釈上の争いがあった(6)。
すなわち、法令違反の発生が領土または領海に限られるのか否か、換言すれば、自国の領土または領海で行われた違反を処罰するために、領海から接続水域に出た船舶に対して拿捕や逮捕という強制措置をとることは可能であるとしても、領海に向けて接続水域を通航する船舶に対して、接続水域において拿捕や逮捕という強制的な措置を採り得るかどうかである(7)。
第1の見解は、接続水域における沿岸国の「規制」の権能は、通関、財政、出入国管理、衛生に関する事項に限定はされるが、領海の場合と同じく排他的かつ完全な管轄権あり、事実上の規制だけでなく拿捕や逮捕という強制措置の執行も含まれるとするものである(8)。
これに対して、第2の見解は、接続水域は公海の一部であるから、領域主権に基づく領海における管轄権とは異なり、拿捕・逮捕などの強制措置を含めてはならず、通関、財政、出入国管理、衛生に関する国内法令の遵守を確保するために必要な検査、警告、水域からの排除などの事実上の規制、予防的警察措置を加えるにとどまるべきである、とするものである(9)。
思うに、沿岸国が接続水域で行使しうる権能は、「規制(control)」であって、「管轄権(jurisdiction)」ではないから、すくなくとも接続水域において、国家管轄権を一般的に拡張することはできないといわなければならない。
ところで、接続水域における「規制」の具体的内容をどのように解釈しうる
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