接続水域における密航の取締り措置
慶応義塾大学教授 安冨潔
1.はじめに
接続水域は、沿岸国がその領海に接続する一定範囲の公海海域で、外国船舶に対して、犯罪の防止または鎮圧など、特定の国内法令の履行を確保するために必要な取締りを行うことができる海域をいうとされる(1)。
接続水域は、特定の国内法令が当該国の領土・領海内において遵守されるよう確保するため、領海外で外国船舶に対して公権力による規制を及ぼしてきた先例にならって機能・目的別に分化した沿岸国の機能の公海への拡張について国際法上の根拠を定めたものである(2)。すなわち、接続水域の制度は、1930年のへーグ国際法法典化会議を経て、一般的に承認された国際法規とされたといわれる(3)。
そして、1958年の「領海及び接続水域に関する条約」24条は、接続水域について、
「1 沿岸国は、自国の領海に接続する公海上の区域において、次のことに必要な規制を行うことができる。
(a)自国の領土又は領海内における通関上、財政上、出入国管理上又は衛生上の規則の違反を防止すること。
(b)自国の領土又は領海内で行われた(a)の規則の違反を処罰すること。
2 接続水域は、領海の幅を測定するための基線から12海里を超えて拡張することができない。」
としたのである(4)。そして、「海洋法に関する国際連合条約」(以下、国連海洋法条約という。)第33条は、「領海および接続水域に関する条約」(以下、領海条約という。)第24条の規定を基本的に踏襲して、
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