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い。またわが国から消極的共助のシステムを採る国に共助を要求した場合、その申し入れに対して相互主義を求めて来ることも予想されるが、無限定説では捜査機関限りの判断で足ることになる。しかし捜査の内容が任意捜査の限度であってもこの場合は議会の判断を経ておくことが適当と思われる。それは任意捜査と強制捜査という区分が各国に共通なわけではないこととも関係している。従って捜査機関が申し入れを行う場合も取調べではなく一種の調査の限度にとどまるべきであろう。
領域説の予定する国際協力のシステムは引渡しと積極的共助を基本とし、公海などどの国の主権にも属さない区域では旗国・国籍国が責任を果たすというものであろう。各国の国内法制が画一で、能力と意欲が共通であれば、それは一つの有効な方策であるが、英米法国は消極的共助の制度を採るし、刑罰関心はおのずと国家間で異なる。すると条約により形成しようとする国際秩序は画餅に帰し、今日の国際法事情にそぐわない。また大陸棚・排他的経済水域について立法措置を必要とするが、実体法のある限り国民の予測可能性に影響はない。」(1)
「194条、195条が国外犯処罰規定を持たなかった点についても、101条や195条2項に国外犯規定があるのは、立法当時国際法上固まってきた犯罪人引渡し制度に対処しようとしたためで、194条、195条1項の方は、捜査などの公権力の行使についての国際協力が固まるのを待っていたに過ぎないとも理解しうる。公務執行妨害罪についても、同じように考えられる。また、捜査共助法も、積極的共助以外の国際協力のあり方、消極的共助のようなものを積極的に排除する性質のものでもない。」(2)
「無限定説と領域説の中間に考えられるのは、刑事訴訟法の適用範囲を国際法上わが国の管轄権の及ぶことが認められた範囲と理解する管轄権説である。……この考えは、最も国際協調的であり、前二説の欠点を補い適切なものであろう。先に4条の2で述べた引渡しを基本とするシステムはここに結びつくと考えられる。」(3)
「〔この考えでは、国際法上管轄権の認められた範囲を超えて執行がなされたが〕なお刑事訴訟法の枠内ではあった場合など、国際法上だけでなく国

 

 

 

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