から、実質的には問題ないと考えられる。水分、金属分析の結果は試料Nuと同様な傾向を示している。本サンプルは自然貯蔵試験中の吸光度に変化が見られたが、燃料の分析結果にはほとんど表れていない。
(e)試料N05SB5+ステアリン酸(表6−5)
外観、比重、メタノール純度、遊離酸並びにフィルタビリティについては特に問題はない。蒸発残分は、特に換気付き栓のサンプルで増加が見られたが数値は非常に小さく、フィルタビリティも検出限界以下であることから、実質的には問題ないと考えられる。水分、金属分析の結果は試料NO1と同様な傾向を示している。
以上の結果をまとめると、着色剤の劣化、変質(試験片との反応も含む)による蒸発残分の増加、フィルタビリティーの悪化は全てのサンプルで問題になるレベルではなかった。Feは1ppm以下であり、蒸発残分、フィルタビリティーに影響していないことから問題ないと推定される。吸光度の変化が大きかったAY73の分析結果も、燃料の品質分析上は特に異常は認められなかった。なお、メタノール原液にもFeは検出されているので(中間報告書I36ぺージ)、試験終了後のサンプルよりFeが検出されたのは使用したメタノールそのものの影響であり、着色剤の影響ではないと推定される。
第7章 変異原性試験等による安全性の確認
1 変異原性試験の概要
(1)目的
着色剤に発癌性がないかどうかということを、変異原性試験で確認する。
(注)発癌性については、厳密には国際がん研究機関(IARC)により認められている等の事実が必要であるが、一般的には変異原性試験で評価する。

(2)試験実施機関
(財)日本自動車研究所HE研究室
(注)1995年5月に労働省の査察を受け、労働省安全衛生法GLPの適合確認