(2)OMRI(1997/1/17)の報道によれば、ポーランド議会の憲法委員会は憲法草案を採択したことが伝えられている。今後のスケジュールとしては2月中に議会本会議での採択、5月頃に国民投票の実施が予定されている。順調に進んだ場合、秋に行われる予定の総選挙前に新憲法が採択される可能性が出てきた。なおOMRIの報道については、インターネットを通して提供されたものに依拠している。
(3)現在の連立政権の経済政策とその背景については、とりあえず(仙石 1996b)を参照。
(4)ワルシャワにおけるファーストフードチェーン(マクドナルド・ケンタッキーフライドチキン・バーガーキングなど)の繁栄や新規の商店の増加、自動車台数の増加に伴う市内の交通事情の悪化、都市郊外における建築・道路建設ラッシュ、日曜の教会への礼拝に車で来る人の増加など、1990年前後と比較して「豊かになった」と思われる印象を受けることが多かったことも、その一例としてあげることができよう。
(5)ポーランドの民営化については、統計局資料(GUS
1996:336-7)に大まかな概略が示されている。
(6)現在のところ「グミナ」については、広義には地方自治体を総称する用法、狭義には市以外の自治体を指す用法がある。従来の日本の用法ではグミナに「郡」という訳を当てることが多かったが、社会主義の一時期を除いて「グミナ」は基本的に第一段階の地方組織であったこと、グミナの下位レベルとなる地区・区は日本の「町内会・部落会」レベルに相当するものでその上位レベルとして「郡」の訳語は適切とはいえないこと、歴史的に存在しかつ現在その復活が一部で検討されているpowiatの方が日本語でいう「郡」のイメージに近く、グミナを「郡」としてしまうと今後powiatが復活した場合これに当てはめる訳語が存在しなくなること(一部でpowiat「州」と訳す例もあるが、「県」の下位単位に「州」の訳語を用いるのも不自然な気がする。ポーランド側が発行した英文の資料ではCountyという表現が用いられている)、などの理由により、ここでは「グミナ」という表現をそのまま用いている。なおこの報告書と同時期に執筆した北海道大学スラブ研究センター冬期研究会の報告書の原稿では、全体の申し合わせにより狭義のグミナを「町村」、広義のグミナを「市町村」と訳している。
(7)現在の中央政府の行政改革との関連で、地方自治を担当する省庁は現在のところポーランドでは確定していない。95年末までは地方自治は内務省の管轄にあったが、96年1月からはURM(Urzad
Rady
Ministrow:閣僚会議府)が地方自治を担当している。但しこれも、今後の行政改革の中で変更の可能性があるという。
(8)一例として、以下のケーススタディの節を参照のこと。
(9)OMRI(1997/1/16)の報道によれば、少なくとも注の2)で示した新憲法では郡に関する規定は掲載しないことで、主要4政党(民主左派同盟・農民党・自由同盟・労働連合が合意をみたようである。
(10)郡に移管される予定の権限としては、グミナの領域を越えて広域の調整を必要とする権限として、以下のようなものが想定されている。中等教育、芸術・特殊教育/保健衛生/交通通信/土地利用/文化スポーツ/環境、水資源管理/治安/災害防止/経済振興/消費者保護/施設の維持また郡の基本的な領域としては、面積500平方キロメートル、人口4万人から8万人で、内部に5から8のグミナを含むことを想定している。ただし先に述べたように、パイロット都市プログラムに参加する都市は郡の管轄には含まれず、また郡に対しては首相の監督権が及ぶとされている(以上
Przeglad Rzadowy 1996 Nr.5:89-91より)。
(11)ワルシャワ市民へのアンケートでも、「市民はその自治体の領域における決定に影響を与えられるか」という質問に対し「はい」=3%、「どちらかといえばそうだ」=26%、一方「どちらかといえばそうではない」=39%、「いいえ」=15%(答えられない=17%)と、否定的な見解が過半数を占めている(肋?〃o卵o〃31996/7/16)。
(12)大蔵省並びにスキェルニェヴィッツエ県でのヒアリングに対する回答による。
(13)なおこの節の執筆に際しては、現地調査におけるヒアリングに対する回答の他、(Skierniewickie
1995)・(GUS 1996)なども参照している。
(14)ポーランドでは現在のところ、県庁所在地の都市名と県名とは一致している。
(15)URMの担当者の話による。