地方の収入源としては、地方自治法並びにグミナ財政法により、以下のものが定められている。
<1>税金・手数料関係:いわゆる地方税に相当するものとして、固定資産税・農業税・森林税・市場税・相続税・贈与税・自動車税・犬の所有に対する税・印紙税、並びに手数料・使用料がある。日本の住民税に相当するような地方レベルの税金は存在しない。それぞれの地方税の税率は最高限度が国により規定されるが、各自治体において税率を下げる、ないし特定の税を徴収しないことは可能である。加えて地方交付税として、各自治体の管轄範囲における国の法人税の5%と所得税の15%が、一律にその地方に交付されることとなっている。
<2>財産収入
<3>国家財政からの補助金=国家からの補助金として、一般補助金と目的補助金の制度が存在する。一般補助金は小学校の教育事務に対する補助金と、グミナ間の財政格差を緩和する目的で導入された平衡補助金とがあり、その交付に関しては県が監督を行う。前者の教育に対する補助金は、最低でも国家予算の6.6%を支出する必要がある(グミナ財政法12a条)。教育に対する補助金の直接の資料はないが、1995年の予算では総歳出の11.3%が教育関係に支出されていることから、この基準は一応達成されているのではないかと考えられる。後者の平衡補助金に関しては、全グミナの収入総額の人口1人当りの額(指標P)に対して、人口1人当りで指標Pの85%を下回る収入しか確保できないグミナ対して、以下の式で算出した分を補助金として交付する(グミナ財政法14条)。
平衡補助金の額:L={0.9(0.85P−G)}×S
L:当該グミナの人口、G:当該グミナの収入の人口1人当たりの額(指標G)、S:調整指数一当年の当初予算額と上半期の実績値との差額による調整
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1995年の場合、全グミナの6.6%がこの補助金を獲得している。なお指標GがPの150%を越えるグミナは、国家に対して納入金を納めることとされている(同15a条)。
目的補助金は、国からグミナに対して委任された事務やグミナの投資の実施、あるいは社会保障関連の事務などに関して、必要な額を補助金として支給するものである。ただ基本的にはこれらの事務の遂行のために必要な費用は全額国から補助金として交付されるはずであるが、実際にはケーススタディの節でも示すように必要な補助金が充分に交付されず、そのことがグミナの財政に影響を与えている場合もある。