の問題に関心を向ける傾向が強くなっていることも指摘されている(Podemski1995)。このような問題は、例えばグミナ評議会議員の選挙における投票率の低さ(1994年の評議会議員の選挙の時で平均33.8%)にも見ることができる。地方制度の改革が必要であるとしても、それが住民の意向を反映するものでない場合、成果を獲得すること、ないし改革を継続することそのものが困難となってくると考えられる。地方制度の改革の問題にっいては、今後の展開に着目していく必要があろう。
4 ポーランドの地方財政
(1)国の財政構造
ポーランドの国家財政は、別表の通りとなっている。歳入の80%以上を税収が占めるが、その半分以上は1992年に導入された付加価値税(VAT)からの収入となっている。VATは現在のところ、通常の品目に対しては7%、一部の奢侈品に対しては22%の税率が適用され、一方、食料品や書籍は非課税となっている。直接税は法人税と個人所得税に限定される。個人所得税については、昨年の11月21日に採択された新しい税制では、所得に応じて20%、32%、44%の三段階で税金がかけられることとなっている(OMR11996/11/22)。
歳出に関しては補助金・助成金と賃金などの経常支出がそれぞれ約35%近くを占め、ついで債務の返済に16%近くが充てられている。部門別では財政、警察、保健関連、教育の順となる。過去5年の財政赤字の額とそのGDPに対する比率も別に示しているが、基本的にこの数年は経済が好調なこともあり財政赤字は対GDP比3%以内に抑えられており、GDP5%以内という現政権の目標は一応達成されている。
(2)地方の財政制度と国からの財政移転
ポーランドの場合「地方財政」としては、国家行政に属する県・支庁の財政と、自治体となるグミナの財政とが存在するが、ポーランドでは県の財政は国家予算全体の中で処理されるため特定の県の財政という形ではデータが存在しないとされている(12)。そのためここでは、グミナの財政についてのみ整理しておく。
地方の財政に関しては、「グミナの財政に関する法律(1993年12月、以下「グミナ財政法」と表記する)」が規定を与えている。予算案は幹部会が原案を作成し、評議会による議決を受けて施行される。予算単位は暦年(1月から12月)であり、原則として予算年度の前年末までに採決されることとなっている。またグミナの予算に関しては、首相に直結する国家機関である地域決算局(Regionarna
izba
obrachunkowa)が監督・決算を行うこととなっている(地方自治法62条、並びに「地域決算局に関する法律(1992年10月公布)」による)。