首都ワルシャワについては先に示したように、中心市を含めた11の市により「首都連合体」が形成されている。各グミナはそれぞれ住民の直接投票により選出される評議会と、評議会から選出される幹部会を有している。それと同時に首都連合体には、11のグミナの評議会それぞれの評議員から間接選挙により選出される議決機関としての「首都ワルシャワ評議会(定数68)」と、執行機関としての首都ワルシャワ市長(Prezydentm.st.Warszawy)並びに首都ワルシャワ幹部会が置かれ、首都全体に関わる事務や関係グミナ間の協力、調整に関する事務を実施している。首都ワルシャワ市長はワルシャワ中央市の評議会により選出されるが、その候補は中央市の評議会のみでなく首都連合体に参加する各グミナの評議会、並びに首都ワルシャワ評議会が提案権を有している。
首都には政府や中央行政の諸機関、もしくは外国や国際機関の代表部など、国家にとって特別な重要性を持つ施設や機関が集中していることから、首都ワルシャワに対しては他のグミナに比べて、国家からの委任事務や内閣(首相)がグミナの活動に関与できる部分が多くなっている。例えば内閣は首都ワルシャワ、ないし首都連合体を構成する各グミナに対して、行政命令により委任事務の実施に関して国家行政機関との協同を行わせることができる。また通常は議長、幹部会、もしくは評議員の一定数以上の要求により召集される評議会に関しても、首都ワルシャワ評議会と首都連合体に参加する各グミナの評議会については、首相がその召集を求めることができる。その一方で首都ワルシャワに対しては、通常の自治体としての業務に加えて、首都の機能を維持するために必要な事務と権限も委任事務として付与されている。その中には特に都市計画や都市発展戦略の作成、インフラの整備、あるいは関係自治体間の調整の権限など、通常国家機関である県や支庁に与えられている権限の一部も移管されている。
主要都市に対しては、パイロット都市プログラムや「活動領域法」を通して、従来国家機関(特に支庁や、警察・消防などの特殊行政機関の地域支局)に属していた権限の一部が移管されている。パイロット都市プログラムは現在、原則として人口10万以上の46の都市(首都ワルシャワは除く)がその対象となっているが、これらの都市に対しては消防や病院、道路管理などに関する一定の事務・権限が移され、また公共投資に対する国からの分担金が増額されることとなっていて、現在の日本の「中核市」のような地位を与えられている。また各都市は近隣のグミナを含めた広域行政区域として「都市の公共サービスに関する領域」を設置し、行政の効率化や財政支出の適正化のために都市の事務・権限の一部をこの領域に委託することができるようになっている。なおパイロット都市プログラムに参加している都市は、将来郡(Powiat、詳細は以下の(8)を参照)が設置された場合でも、これには統合されない予定とされている。