(3)地方団体の種類と組織
先にも示したが、現在のポーランドの地方団体としては1995年末の段階で、国家行政機構に属し地方組織法の規定により設置される広域団体としての県(wdewodztwo)が49、中間団体としての支庁(rejon)が267あり、また「地方自治に関する法律(以下「地方自治法」と表記する)」の規定により設置される自治体としてのグミナが2483ある(6)。このグミナの中で市(miasto)の地位を与えられているものが315、また市と周辺のグミナで自治体の連合体となる「市一グミナ」(miasto-gmina)を形成しているものが555あり、それ以外のグミナ(主として農村部に存在する)が1,613となっている。首都ワルシャワ市はについては(4)で詳説するが、中央市は7つの区(dzielnica)からなり、中央市と周辺11の自治体は「義務的自治体連合(Obligatorjyny
zwiazk
komunalny、ここでは以下便宜上「首都連合体」と表す)」を形成している。首都ワルシャワ以外にクラクフ・ウッジ・ポズナン・ブロツワフの各市にも、補助単位としての区が設置されている。上の各市以外のグミナでも、条例によりグミナの領域の内部に補助単位として地区(solectwo一グミナの場合)、もしくは区(osiedle一上にあげた以外の市の場合)を設置することができる。補助単位は自治体と異なり法人格を持たないが、地方自治法の規定に基づき条例の範囲内で一定の権限を有する。
地方において国家行政を担当するのは、県知事(wdewoda)を中心とする県である。県知事は単独で国家行政機関となり、担当県の領域における国家行政を指導する立場にある。担当の県において中央の行政の代理として国家行政の事務を遂行すると同時に、県内の自治体に対して監督を行う権限を持つ。県と県知事の活動を監督するのは内閣であり、県知事は首相に対して責任を持つ。県知事の任免権は首相が持つが、その人事は地方自治を担当する省の大臣(7)が提案する。また自治体議会(seimiksamorzadowy一セイミク<県議会>、詳細は以下の(5)を参照)が県知事の人事に対する勧告権を持ち、県にとって望ましくない知事の就任の忌避、もしくは解任を首相に対して要求することができる。
県知事の下には副知事(wicewdewoda)が存在するが、これは知事の提案により首相が任免を行う。県知事は県の各課の課長、並びに県内の支庁の長(Kierownik
urzedu
rejonowego)に対する任免権を持ち、またこれらの長に自分の権限の一部を委任することができる。県の基本的な事務・機能は、中央の行政目的を地方レベルで実現することにある。県の主たる事務には保健、社会制度の整備、文化活動、経済活動などがあり、また今後教育や環境、あるいは消費者保護などに関する権限も移管される予定があるが、この点は「郡」設置の問題も絡み、現状では流動的である(後述の(8)を参照)。県の下部単位となる支庁は、県の指示に従いかつ担当省庁の認可を受けた上で、支庁の内部での国家行政にかかわる事務、主として建設や交通、土地関係などに関