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バシコルトスタン共和国憲法は、第128条において「バシコルトスタン共和国の法律は、バシコルトスタン共和国の金領域において最高性を有する」(→第4条、第15条)と定めている。同種の規定は、トゥヴァ、イングーシェティア、サハ、タタルスタン、チェチニャの憲法にもあり、さらにサハ憲法第41条は「サハ共和国(ヤクーティア)は、ロシア連邦の法律およびその他のアクトがサハ共和国(ヤクーティア)の憲法または法律に抵触する場合、自己の領域においてその効カを停止し、または条約の定める手続によりそれに異議申立てを行なうことができる」(→第76条)と定めている。

タタルスタン共和国憲法は、その第1条で「タタルスタン共和国は、多民族からなるすべての共和国人民の意思と利益を表現する主権的な民主的国家である」(→第4条)と定め、チェチニャ共和国憲法も同種の規定をおいている(第1条)。

連邦関係について、バシコルトスタン憲法第70条は「バシコルトスタン共和国とロシア連邦の関係は、条約上の…ものである」(→第5条)と定め、タタスルスタン憲法第61条は「タタルスタン共和国は、権限および管轄事項の相互委譲にかんする条約にもとづいてロシア連邦一ロシアと結合する主権国家であり、国際法の主体である」(→第5条)としている。イングーシェティア共和国憲法第54条には「イングーシェティア共和国大統領は、…イングーシェティア共和国の対外政策の実現を指導し、イングーシェティア共和国の名において、共和国間または国際的な条約および協定の交渉を行ない、これに調印する」(→第71条)との規定があり、こうした規定はバシコルトスタン、サハ、チェチニャの憲法にもみられる。

サハ共和国憲法には、第5条の「サハ共和国(ヤクーティア)の領域における土地、地中および地下資源、水資源、森林、動植物界、その他の天然資源、領空、大陸棚は、サハ共和国(ヤクーティア)の所有であり、その人民の奪われることのない資産である」(→第67条)とか、第98条の「…遊牧民人民代議員ソビエトが設置されている北方の少数民族の密集して居住する地方においては、共和国の法令に定めるその他の形態で裁判を行なうことができる」(→第71条)といったの興味深い規定もある。トゥヴァ共和国憲法の「トゥヴァ共和国は、独立して地方自治機関のシステムを制定し、地方代表機関および行政機関の権限および活動手続を定める」という第98条は、ロシア憲法第72条の地方自治の組織にかんしては連邦と構成主体の共同管轄とした規定と矛盾している。

構成共和国の憲法とロシア憲法の矛盾は、以上に見るようになかなか深刻である。さて、こうした資料に加えていま少し、連邦憲法と構成主体の憲法をめぐる矛盾について、ロシアでの議論を見ておこう。

ボリス・クルイロフによれば、ダゲスタン共和国憲法は国家評議会の形成手続にかんして、「共和国住民の多民族的構成を考慮して」これを形成すると定めている。しか

 

 

 

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