第1のパラメーターは、いわゆる大陸型かアングロサクソン型かという問題にかかわっている。大陸型の制度においては、国家機構と自治体とはいわば水平的に分割される。その結果、国家は統治の基層において自らの機能を遂行するためには、国家機能を自治体に大胆に分与するしかない(包括授権主義)(5)。そのかわり、国家は自治体の活動を司法的・立法的方法によってのみならず、行政的方法によっても監督しようとする。アングロサクソン型の制度においてほ国家機構と自治体とはいわば垂直的に分割される。ここにおいては、国家は基層の小さな行政単位にいたるまで自らの出先機関を開設し、それによって国家機能を実現しようとする。いきおい、自治体の機能は比較的狭いものとなる(制限列挙主義)。そのかわり、国家が自治体を監督する方法は、立法的・司法的な方法に限定される。要約すれば、大陸型の国においては国家は自治体に幅広く授権し、そのかわり事細かに統制する。アングロサクソン型の国においては、国家からの授権があまりなされないかわりに統制も緩やかである。
こんにちの行政学においては、アングロサクソン型を理想化し、地方自治の手本とみなす見解は廃れている。アングロサクソン型の自治体が日常的な業務に自己限定せざるをえない一方で、大陸型の自治体は、長期的・多面的な地域発展政策を展開しうることが明らかとなっている。
第2のパラメーターは、カウンシル制(執行機関を住民代表機関が選出)か、それともいわゆる「強い首長」制(首長を住民が直接選挙)かという選択にかかわっている。前者の場合、立法権と執行権とは統合され、後者の場合、立法権と執行権とは分立する。さて、上述の2つの基準に伐れば、過去140年制こおけるロシアの地方制度は、図表4