などの観点から特別の規定を整備することが適切であるように思われる。
(1)『註解日本国憲法』(有斐閣、1954)1372頁。
(2)『註解日本国憲法』前田注(1)1374頁。
(3)『註解日本国憲法』前田注(1)1375頁。
(4)たとえば、特別の核施設について、地方公共団体の統治範囲から外し、特別に国の直接統治に委ねることや、海上の特別の島について、地方公共団体の統治の及ばないものとして、国が直接に統治・管理することなどが考えられる。後者は、たとえば、尖閣列島などで事実上すでに認められているところである。もっとも、後述のように、それらの領域に住民が住み、地方自治に見合った生活を営んでいる場合には、その住民自治の観点からの考慮が必要となろう。
(5)宮沢=芦部『全訂日本国憲法』(日本評論社、1978)763頁は、「特殊な理由により、領土内の特定のかぎられた区域において、例外として地方公共団体が認められないことがあるとしても、あえて本条に違反するものとはならない。たとえば、かりに、中央政府の所在地を、どの地方公共団体の区域にも属さないことにするとしても、ただちにそれによって、本条〔憲法92条〕が破られるという結論にはおそらくなるまい」と説く。また、塩野宏『行政法III』(有斐閣、1995)105頁は、「ある地域について、憲法上の地方公共団体が全く存在しないということは憲法の予定していないところである」としつつ、「ただし、首都の一定地域についていわば国の直轄とすることが憲法上認められるかどうかの問題は残る」という留保をつける。
(6)憲法制定過程では、マッカーサー草案が「府県知事、市町村長・・は住民により直接に選挙されるべきである」と規定していたところ、日本政府から府県・市町村という固定化が好ましくないという主張がなされ、結局、憲法上は「地方公共団体」という一般的名称にとどめることになった(佐藤達夫「憲法第八章覚書」『地方自治論文集』(地方財務協会、1954)、須貝惰一「地方自治の本旨」阿部ほか編『地方自治大系2』(嵯峨野書院、1993)28頁以下参照。
(7)二層制に関する学説の状況については、さしあたり、樋口ほか『注釈日本国憲法下巻』(青林書院、1988)1388頁以下〔中村睦男執筆〕参照。都道府県・市町村の双方が憲法上の地方公共団体と解する有力説として、『註解』前田注(1)1376頁、佐藤功『ポケット註釈全書憲法(下)〔新版〕」(有斐閣、1984)1204頁、田中二郎『新版行政法(中)〔全訂第二版〕』(弘文堂、1977)77頁等がある。
(8)憲法が二層制を要請しておらず、都道府県の廃止が直ちに違憲とはならないとする最近の説として、塩野・前田注(5)105頁以下参照。
(9)杉村敏正「地方公共団体」『憲法講座第4巻』(有斐閣、1964)、佐藤功・前田注(7)1205頁、樋口