の地方公共団体の制度の新設・導入などにおいて、既存の地方公共団体の住民の意向を聞くことは必ずしも適当ではなく、また、その必要もないと考えられる。しかし、少なくとも首都移転にともなって首都地域に特別の地方公共団体を創設するという場合には、特定された地域について特別の地方自治制度を設けるものである以上、住民の意向を無視することはできないといわなければならない。
とはいえ、他方で、東京都と特別区については地方自治法上特別の規定が置かれており(地方自治法281条以下)、これについては特別の住民投票は行われていない。この理由としては、都の制度は「地方自治法上、普通地方公共団体の一種類として一般的基準により一般的制度として定められたもの」(19)、あるいは、「都や道に関する特例は・・きわめて軽い程度のもの」(20)として、特別法は不要であるとしている、首都であり大都市である東京については、首都・大都市としての東京の自治の効率的な運営という地方行政上の特別の必要性に基づいて特別の自治組織を設けたものであり、その限度で住民投票を不要としたものと解されるが、とすれば、首都地域についても、東京に認められる程度での特別の自治組織を設け、それについては住民投票を行わないこととしても、憲法95条には違反しないということができるように思われる。しかし、それはまた、現行法程度の東京都の特別規定を超えて、たとえば長を住民の公選としないような地方公共団体を組織する場合には、やはり住民投票が必要となるといわなければならない(21)。仮に、そのような特別の地方公共団体の創設に関する法律が憲法95条の適用を受けないとした場合でも、特殊な地方公共団体の創設について住民の同意を確認する何らかの法的措置が必要となるように思われる。
以上のことは、首都地域を国の直轄地とした場合にも妥当しよう。すなわち、首都地域という特定の地域に特別の行政組織が創設され、当該地域の住民にとっては従前の地方公共団体から特別の行政組織へと変更されることになるのであるから、住民投票などの住民の同意の手続は必要であると思われる。しかも、国の直轄地としての組織において住民の意向反映が狭められることになるのであれば、なおさらであろう。
(3)首都地域の行政運営に関する法律に対する住民投票の要否
首都地域が国の直轄地として組織され、その行政運営について法律によって行わ