<ノースリバー>
対外的な危険からの安全性
<ポトマック河口>
1)地理的な中心性、2)西部開拓地への近接性、3)南部諸州からのさらなる「割譲」への誘因、4)大きくなりすぎた商業諸都市の影響からの遠さ
<デラウェア河口>
1)居住人口の観点からの中心性、2)北部諸州の代表の観点からの中心性、3)海からの情報収集の容易性
を指摘している。
しかしながら、経済・社会構造の差異をも反映した南北の州間対立は、一つの首府を選定するには余りに激しく、すぐに覆されたもののジョージタウンとデラウェア河口に二つの首府を置く提案が連合会議でなされたことすらあった(1783)。
(3)妥協への途
スペインによるミシシッピ川の航行制限(これに対して連合政府は有効な手を打てなかった)や、減税や債務者拘禁の禁止を求めたシェイズの反乱(1786)を経て、連合強化の必要性自体は広く浸透するところとなり、1786年には憲法制定会議が招集された。同会議における憲法草案の制定過程、およびその州における承認過程(88年発効、但し権利章典についての修正は1791年成立)において、様々な対立の間での−−南部と北部、小さな州と大きな州、FederalistとAnti-federalist−−妥協と協調が図られたが(5)、首府に関しては、次に掲げる規定が置かれることとなった。
第1編〔立法部〕
第8節連邦議会は次の権限を有する。
第17項特定の州が譲渡し、連邦議会が受納することにより合衆国の政府の所在地となる地区(10マイル平方を超えてはならない)に対して、いかなる事項に対しても専属的な立法権を行使すること、及び要塞、武器庫、造兵廠、造船所その他必要な建造物を建設するために、その地の州の立法部の同意を得て土地を購入した場合に、これらの土地のすべてについて同様の権利を行使すること。(6)