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とに委ねられた。行政の長と警視総監による二頭制のスタイルは、現代に引き継がれている。この時代にも一般の市町村にはすでに議会が置かれていたが、パリ市には固有の議決機関は存在せず、市長もいなかった。各区ごとに置かれた区長および助役は主として戸籍事務を担当する役職であり、国家元首によって任命されていた。その後、1834年の法律にもとづきパリにも市議会が設置されることになったが、パリ選出の県議会議員が同時に市議会議員を兼ねるという変則的なもので、権限も限られていた。この状態は、基本的には第二次大戦後まで変わらなかった。
 戦後はパリヘの人口集中が進展し、セーヌ県のほかセーヌ・エ・オワーズ県とセーヌ・エ・マルヌ県をあわせた地域が首都圏としての実質を備えるようになってきた。この3県の区域は現在のイル・ド・フランス州に相当する。1964年にパリ首都圏を対象とする制度改革が実施され、3県を解体して、パリ市と7つの県が新設された。このとき、パリ市は、市であると同時に県の地位を持つものとされた。
 さらに、1975年にいたってようやくパリ市制の抜本的改革が実現し、パリにも市長が誕生することになった。1977年に市町村議会の改選が行われたのち、パリ議会でも他の市町村と同じように議員の互選によって市長の選出が行われ、ジャック・シラク現大統領が初代パリ市長に任命された(19世紀に存在した議長を計算に入れると、12代目の市長となる)。
 1975年法によって規定された首都行政の枠組みは、パリだけの特例を縮小し、なるべく地方制度の一般原則をあてはめようとするもので、現在のパリには一般の県の制度と市町村の制度とが二重に適用されていることになる。したがって、分権化の成果として県や市町村の制度にもたらされた変化は、原則としてパリにも適用される。

(2)首都の特例

 前述のように、現行のパリの行政制度は、基本的には一般の地方制度の枠組みのもとで運営されているのであるが、歴史的な経緯と首都としての特殊性への配慮から、現在でも他の都市とは異なる特色が存在している。
 第一の特色は、市制と県制との二重性ないし共存にある。パリ議会(ConseildeParis)は、1975年の改革以降、一般の市町村議会と県議会の機能をあわせ持つものとされている。ただし、市町村議会としての機能の比重が高く、市議会が県議

 

 

 

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