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在の道府県、市町村の区域を前提とした圏域と一致する保証はない。県境をまたがることも想定されよう。現在、未開発地である可能性が高いと思われることから、現行の複数の市町村の区域にまたがる可能性は高い。
 国会都市は20km2とされており、場所の選定によっては既存の市町村の区域に収まることもあろうが、仮にそうでない場合、少なくとも国会都市くらいは一つの地方団体にできないかという議論が起こってくることは想定される。さらには、圏域についても同様の議論が生じてくることも想定されよう。
 基本的には、合併そのものを問題とするのではなく、首都機能が移転した場合に行財政制度がうまく機能するのかという視点から検討すべきである。仮に中心のコアが複数の市町村にまたがっている場合には、日常的な業務運営が煩雑となることも考えられるが、行政としての対応ができないということにはならないであろう。ただし、合併した方が効率的であるとは言い得よう。いずれにせよ、広域連合等の広域的な受け皿は必要となろう。

 

6 諸外国の首都制度についての検討の視点

(1)諸外国の制度を検討する場合の一般的な留意事項としては、以下の点が挙げられよう。

・建設過程においての国・地方の役割分担や費用分担についての特例なのか、あるいは通常の行政執行について設けられている特例なのか。

・当該国のそもそもの地方制度の我が国との相違点は何か、また、当該国の地方制度の中で首都としてどのような特例が設けられているのか。

・事実上及び法制上の特例を調べるだけでなく、その由来、背景まで調べ、立体的に把握することが必要。

・全体の地方制度が日本に類似しているという点では、戦前の日本の制度に類似しているフランス、イタリアや、戦後に影響を受けているアメリカが参考となる。

・抽象的な制度論だけでなく、基礎的なサービスをどの主体が供給しているかということを具体的に調べることも有意義。

・新首都が形成された(る)時期が近いアメリカ、ブラジル、オーストラリア、ドイツ、マレーシア等について検討することは重要。

 

 

 

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