この他、調査会報告では、クラスター以外の地域についての開発を抑制することとされているが、これは今の都市計画を前提とすると現実的には困難であると思われる。都市開発規制を強化する必要が出てくることが想定されるが、これについても、地方行政主体の役割について別途の検討が必要となろう。
4 地方制度の特例について
移転先地の地方制度について何らかの特例を設けることも考えられるが、まず、既存制度で対応する場合の問題点を整理していくことが必要であろう。
実際には、首都に必ず固有であって、やむなく対応しなければいけないような行政需要とか財政需要は余り見つからない。警備関係、警察関係のものと、あとは渉外関係、外交関係があげられよう。多くの国で、警視庁のようなものを置き、そこで要人警護等を担っている。国としての重要施設を警護するということは、首都の存在による特別の行政需要と言えよう。
なお、一般に問題とされているごみや下水道については、首都というより大都市としても問題である。経済的に人が集まりオフィス等が集中することにより問題となるもので、国会がそこにあること自体とはほとんど関係がないものと思われる。
ただし、首都だから特別の大きな道路を引いて、まちづくりを特別な形でやれないかといった議論は起こり得よう。都市計画では首都圏なるがゆえに大臣認可にするというような制度が認められている。移転先地においても、首都機能が存するが故に、大臣関与を強めようという議論は生じてくるであろう。諸外国の首都における都市計画の特例について比較検討する場合には、その特例が設けられている背景にまで踏み込んだ議論が必要であろう。
この点については、今後の議論に資するためにも、諸外国の首都制度の特例やその考え方等を調べておくことが有意義であろう。
5 地理的な地域と行政区域との調整
国会等移転審議会における移転先地の検討にあたっては、現行の行政区域との関係は選定のための要件とはされておらず、地理的な条件に基づく適地が、必ずしも既