けた内閣総理大臣の報告)を踏まえ、移転先について別に法律で定める。(第23条)
3 建設過程における検討事項
建設過程における問題点を検討する場合にも抽象的な議論は混乱を招く恐れがある。現段階では、国会等移転調査会報告をもとに、類似規模の都市を想定すること等により、当面、考えられる問題点等を整理しておくに止めておくこととなろう。
移転先地においては、大規模なインフラ整備等が求められることが想定されるが、これには、既存の市町村の計画能力や事業執行能力では対応できないことも考えられる。
このため、本来は市町村が担う事業であっても、これを抱える広域団体である道府県が補完的な役割を果たすべきという議論が出てくるであろう。また、施設建設等について、例えば住都公団のような法人が大規模に行うといった対応も考えられる。
この場合には、地方自治の視点から、個別事業ごとに慎重に検討する必要がある。例えば、大規模公園や街路を含めた都市計画についても、仮にそういう計画づくりの全体の構想を国がつくるにしても、地方団体が何らかの役割を果たすべきでないのか等の国と地方の役割の整理の仕方については慎重な検討が必要となる。
また、上下水道、ごみ処理、消防といった行政サービスについては、施設建設後の日常的なサービス供給まで建設主体が行うのか、あるいは他の地域と同様に市町村に移管していくのかという点まであらかじめ検討しておく必要がある。これらの行政サービスの提供については、仮に施設建設を国や道府県が行ったとしても、日常的なサービス供給については、基本的に住民に身近な市町村が行うべきであろう。
国や道府県が建設主体となる場合にも、それを市町村にどの段階で承継するのか、管理をどういうふうに行うのか、当初の建設段階から検討しておく必要があろう。
なお、従来の都市開発の事例を参考にする場合、つくば、関西学園都市、多摩ニュータウンの建設の事例が考えられるが、新首都の建設は、研究学園都市やニュータウンの建設とは同じ訳にはいかないのではないかと考える。これらの都市開発においては、研究施設の配置や住宅の供給を主眼としており、首都としての体裁といったことまでは考えていないし、また、移転先地の開発規模が60万人と大規模であることにも留意が必要であろう。