一番左の列から庶務、法務、建築・都市計画、衛生、青年と福祉となっている。法務は別として、土木関係、衛生関係、福祉関係があり、政令指定都市の区役所に非常に似ている。このように大都市において、一方で効率化のために広域集権化するという面と、他方で区を組織して機能を分散し、それに住民参加組織を設置するという傾向が見出される。ところがブレーメンはやや異なる。私の仮説がストレートには当てはまらないケースである。ブレーメンは条例によってその区域を幾つかの区に区分している。そして役所機能を分散したら、その一つ一つの支所に住民参加組織を置かなければならない。そしてその住民参加組織は、正式の選挙で、政党べースで選出される。基本的に22区に分かれ、全人口が約50万、一区当たり2.5万と、ハンブルクよりも遥かに小さい。一番人口の多い区でも5万人前後、大体は2万人から3万人程度であり、コミュニティと言える規模である。極端な例は、一番広いブロックラント地区は農村地帯で人口400人であり、ここで一つの地域事務所を持ち、地域評議会があるが、その地域事務所は専任職員ではなく名誉職で担われており、地域事務所長はガーバーデという名字の地区の名士が代々やっている。ブレーメンの地域事務所は、組織エリアが小さすぎて、大区役所主義のような充実した組織にはなっていない。別表に示すように、地域事務所の組織は小規模で、日本で言えば目黒区の住区サービス事務所、或いは中野区の地域センターぐらいの規模しかなく、業務内容は住民届業務が主である。2番目のオーバーフィーラント地域事務所の保護係は生活保護、また住居係はおそらく社会住宅への入居をあっせんする係と思われる。これは日本の政令指定都市でいう小区役所主義と基本的に同じである(もっとも、地域事務所長は地域評議会という住民組織が指名したとおりに内務局が任命し、業務についても地域評議会の擁護をすべきことが法律上義務づけられているので、この点で日本の政令市とは雰囲気はかなり異なる)。ベルリンもハンブルクも、区の規模が大きく、コミュニティとは言えない。それに対してブレーメンは多くても5万人という、コミュニティと言
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