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挙制度が問題になったものである。ハンブルクのケースは先述の区代表組織の選挙制度の問題、シュレスヴィヒ・ホルシュタインは、普通の自治体の選挙権を外国人に与える立法であり、ともにそれらを違憲とした判決である。いわく、「ノルトライン・ヴェストファーレンにおいて、いわゆる自治体領域改革によって多くの自治体が自立性を失ったことの見返りに自治体の下位区分として創出された区代表会が、それぞれその区に居住している市民によって直接に民主的に正統化されることができる、という点においては連邦憲法裁判所としては憲法上の疑義はないと考えてきた。同様のことは、都市国家における区集会の設置にも、そしてこれに決定権限を与えることにも、基本的に当てはまるのである」。つまり、自治体の市域を区分して、そこに国家権力を行使できるような代表組織を置くことについて憲法上何の問題もないと言っている。これは、日本の現状から考えると、まったく異質の世界のことのように思われる。しかしながら冷静な目で比べると、特に自治体行政組織の地域分散、自治体行政機能の地域分散が比較的大きな都市においても見出され、これらには日本と同じような意味合いがあるのではないかと思われた。それを以下に多少述べてみたい。ベルリン市では、区は東と西で20ある(壁が崩壊する前。現在は23)。区役所の組織を別区で見ていくと、一番左から人事・庶務、教育(社会教育も含まれる)、社会福祉、青少年・スポーツ、健康・衛生、建築(都市計画も含む)、経済、財政というようになっていて、基本的に日本の政令指定都市の大区役所主義の組織によく似ている。ハンブルクを見ると、ハンブルクは人口が約160万人で、区が7つに分かれ、区の人口が平均20万人内外でそれぞれの区役所の下にさらに支所が置かれる(おそらくハンブルクの区は大き過ぎると考えられている)。図表3の「1.Hamburg−Mitte」が区であり、その下に「Ortster」とあるのが支所である。ここでは支所は三つとなっている。2番目のアルトナ区は支所が一つ、3番目のアイスビュッテル区は支所が二つある等々となる。これの組織について見てみたい(図表4参照)。一番右側の列は区集会(Bezirksversammlung)という住民参加組織(実質的には議会)である。

 

 

 

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