ふくといったサービスは、わずか25%だった。そこで、今度は生活の実態に合わせてイブニングサービス、モーニングサービス、排泄介助のプランを立て、一日4回程度、1回当たり25分から30分のサービスを行うようにした。すると時間数は若干ふえるが、本人の状態が見違えるようにきれいになった。介護されている高齢者は、おむつがぬれたままの状態で辛抱していると、自立心とか、少し桜見に行ってみたいとか、お化粧をしてみようという気持ちになれないが、おむつがきちっとかえられて、気持ちがよくなった途端に、何とか春先になったら少し桜を見にいこうとか、きょうは昔の着物をちょっと着てみようという、人間らしい欲望が芽生えてくることがこの実践を通じてわかってきた。そこでは炊事場や便所の掃除はしない。すると家族から「コムスンさん、済まんけど、週に一遍は掃除の方をやってくれんか」と言われる。ヘルパーはそのとき、「私たちは昔は朝も子供をほったらかしにして来て、他人のうちの便所の掃除までせなならんかと悲しかったけど、今、巡回のサービスになって、本当にAさんが喜んで、こんなに見違えるほど生き生きとしてきた。ここで、我々この仕事はよかったなと思ってる。苦にならんようになった。それをもう一回女中さんの仕事に後戻りはできません。」「隣のおじいちゃんは元気だから介護サービスが来ていないけれども、御夫婦がちゃんと掃除をしているじゃないですか。あなたたちもやってください。頼むのやったら有料になりますよ」と言って断ると、家族も「それならようございます」というように変わってきた。巡回によって、その個別の家庭に必要な介護サービスを提供することが、どんなに本人を生き生きと蘇生させるか、そしてこれでやっていけるということに確信を持てた。
(6)ケア・マネジメントの重要性
あるケースでは、高齢者夫婦世帯の奥さんの方が骨折で入院し、食事も進まず、点滴でわずかに生命を保っているような状態だったが、我々のヘルパーは「あの人は、家に帰れば絶対によみがえる」と確信を持って言う。そこで試験外泊で3日ぐらい家に帰ろうと言うと、医療機関は3日間でも試験外泊して何かあったら管理上問題があるから、近所のドクターに診て