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をしてくれるようなサービスがあるというのは安心しました。まだ頑張れます」と、ほとんどの家族が言う。既に家族が大変だと考えてヘルパーを申請し、昼間ヘルパーさんが行っている家庭は、夜ぐらいは自分たちがやろうという体制はできている。また保健婦からも20人ほどの候補者が寄せられた。彼女たちは要介護の高齢者を時々訪問しており、どの家族の負担が重いのか、良く知っていた。我々もその頃福岡市からの委託で約300のお宅に訪問入浴サービスを行っていた。その対象者を見て、巡回介護サービスをどのように夜間使えばどういうように家族の負担が楽になるということがわかる。これが今でいえばケアプランあるいは介護方針である。勧めてみると20世帯ぐらいの希望があった。寝たきりの高齢者の家庭では、自然発生的に御家族が介護していることが非常に多いが、しかし専門家から見れば、夜間の過ごし方の工夫次第でもっと昼間楽になるとか、昼の介護方法をこうすれば夜が非常に楽になる、という点がたくさんある。だから、ある程度そのような介護のやり方の手順まで示した上で、「夜のサービスをこういうようにお使いになったらどうですか」とアドバイスをすると「では使ってみましょうか」となる。多くの自治体が、巡回介護は実際の介護二ーズがない、そんなに夜間、人にかぎを預けてまで、そう介護を頼みませんよと言うが、実際に個々のご家庭に、あなたのこの状態ならば我々はこう考えるという専門家のアドバイスを持っていくと、「それなら少しやってみましょうか」というように変わる。二ーズがないのではなくて、サービスを知らない、利用のやり方が判らない、メニューがないからどう購入していいのかわからないのである。夜の巡回介護サービスは、新しい商品だから、二ーズは自然発生的に起こるものではない。

(4)巡回介護の特性〜福岡市での経験から

そういう意味で、この巡回介護サービスというものを導入した福岡市は非常に勇気があったと思う。ここで我々は多くのことを勉強した。昼間は従来のホームヘルパーが週3回行っている家に、夜間だけは毎日、雨でも

 

 

 

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