そして福祉のサービスは医療と同じように、日曜であれ祭日であれ夜間であれ適用できるものにしていく必要があると考えていた。従来の公のサービスは、福祉事務所に申請に行き、親の介護の状況を話し、所得、住居の状況、家族関係といったプライバシーを完全に開示して、ヘルパーの派遣をお願いする。派遣はまず1週間に3回、3時間ヘルパーが行き、その場で必要な介護サービスは何かと考えてやる。だから1週間のうち3回、1回当たり3時間しか活用できず、本来高齢者に必要な毎日毎日の身体的な介護サービスはまず最初から当てにできない。サービスの中身はため置きの、まとめて購入できるものにならざるを得ない。そういう形のサービスを国は今まで福祉サービスとして提供していた。それで生活ができない人は特別養護老人ホームに入るしかないが、待機者が多くなかなか入れない。そこで高齢者は大抵病気を見つけることができるから、老人病院に入る。その入院が長期化していくと、更に余り体質のよくない病院に流れていかざるを得ないという状態だった。我々は、まず介護者が家庭でどのような介護サービスをしているか、何が大変かということを正確につかむため、地域で調査をしたいと市に要望した。市は当初渋ったものの、その頃は厚生省が、シルバーサービス振興会のシルバーマーク制度という1民間事業者には非常に高いハードルを付与して、それをクリアした事業者には地方白治体がサービスを積極的に委託しなさいという指導をした時期であったため、フィールドを提供してくれることになり、夜間のサービスを導入することになった。ところが、夜間サービスの企画書をつくり、大体20名ぐらいを対象とし、資金は大体1人当たり15万ぐらいあればできると考え、月に300万、年間3,600万という見積もりを提出したところ、市からはそんな金額はできないと言われ、2年ほど交渉を重ね、1,500万の金でとりあえず、平成4年の8月からやってみることになった。しかし、福岡市は非常に勇気があったと思う。シルバーサービス振興会の予算で、福岡市はフィールドを貸す。20名の選定には福祉事務所の方で家族状況を見て、この人は夜大変だという人を25人ぐらい挙げた。そこへ実際に行ってみると、「ありがとうございます。夜まで来ておむつの交換