に社会サービス法が成立し、社会サービスの提供は市(コミューン:基礎的自治体)の責任とされ、市民が市に対して訴訟を起こす権利も認められた。その後1992年にエーデル改革(老人保健福祉改革:平成6年度の当研究会報告書に詳述)が施行され、老人医療の権限が市に移行し、社会的入院費用が市の責任・負担とされた。現在では市が福祉・医療の両方に責任を持つ制度となっている。日本でも、山形県の西川町や広島県の御調町では、医療費の高騰から、病床を減らし、入院を減らし、病床の回転を良くするために福祉を充実させる方向性が見られる。医療と福祉の両方の仕事を市町村が行うようになれば、このような動きが日本でも広がっていくものと思われる。しかし問題は、そこまで市に権限を任せることができるかということである。いずれにしても、両国の経過から、高齢化率が10%前後になると、従来家庭内の問題であった高齢者介護の問題が、家族では背負いきれずに社会問題化してくると言えるのではないだろうか。また13%を越えると、中央政府の管轄では十分な対応ができなくなり、各市町村への移行が始まると言えるのではないだろうか。一方スウェーデンにおける基礎的自治体の形成を見てみると、1952年頃から、高齢者政策の流れとともに、市町村合併が進み、それまでの2,500市町村から、社会サービスの供給母体となりうる約1,000市町村に統合された。1974年に、新しい理念の下、町村はなくなり、約278の市(コミューン)という基礎自治体が形成された。ストックホルムが例外的に65万人である以外には、平均人口約3万人、小さなものでも1万人(発足当時;現在は過疎化で3〜4千人に減少しているところも若干ある)である。市は、社会サービスの供給及び義務教育の供給について、財源、能力が十分であるように整備されている。また同年に、市の課税権を憲法で保障している。高齢化率の上昇により、施設福祉では対応しきれないという状況と、住み慣れた地域で福祉サービスを受けたいというニーズの高まりにより、在宅福祉、ノーマライゼーション、地域のニーズにあったサービスの提供といったものが求められ、そこでは福祉サービス需要を一番正確に把握でき
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