イ スウェーデンにおける高齢社会への対応は、同時に市町村化の歩みでもある。ここでそれを簡単に振り返ってみたい。特に高齢化率に関して、スウェーデンの歩みは日本のそれとよく似ている。スウェーデンでは1949年に高齢化率が10%を突破し、社会問題化するとともに、施設中心の福祉からホームヘルプ中心の福祉への移行が始まった。1964年に市町村が初めて「高齢者福祉計画」を策定し、このときの高齢化率は13%であった。また財源面では1960年に4%の間接税が初めて導入され、高齢社会での税負担のあり方が議論された。日本でも寝たきり老人問題が議論され始めた1985年頃の高齢化率が10%、高齢者保健福祉計画が各市町村で策定された1993年の高齢化率が13%とほぼ同じである(図表1参照)。
図表1 日本とスウェーデンの高齢化社会対策の状況
その後のスウェーデンでは、1965年に政府の補助金政策によって福祉政策が老人ホームを中心とするものから在宅福祉を中心とするものに転換し、同時にコミュナリセーリングが唱えられるようになった。その結果1982年