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序 調査研究の視点

 少子・高齢化社会の到来を間近に控え、各種高齢者介護サービス基盤の整備目標を見直した「新ゴールドプラン」が策定され、老人保健福祉審議会をはじめ、多方面において、今後のわが国の高齢者会の目指すべき方向として、新たな介護システムに関するさまざまな提言がなされている。一方、地方公共団体においては、地方分権の流れの中で、より自主的・主体的な地域づくりを推進していくために、ナショナル・ミニマムの達成を重点とする従来の行財政運営から地域の実態に根ざし、かつ住民ニーズに応えうる、新しい行財政運営のシステムを構築することが求められている。
 その場合、地方公共団体の最大の課題は、「地域社会を生活の場として形成する」ことであり、そのためには、「まちづくりの推進」と「総合的な地域福祉体系の構築」が急務である。特に、今後の地域福祉施策をそれぞれの地域の特性に即して総合的に展開していくためには、次の3点を検討することが不可欠と考えられる。すなわち、第1に、従来の国レベルにおける公共性の概念のみならず、地域レベルにおける公共性の概念を検討していくこと。第2に、福祉サービスについて、「必要なときに必要なサービスをできうる限り安価で」提供していくため、福祉行政におけるトータルマネージメントを図っていくこと。第3に、新たな介護システムについて、現行の福祉制度や医療保険制度との役割分担、公平で効率的な介護システムのあり方を検討していくこと。これらの点について早急に検討を行い、地方公共団体等に対して提案していくことが必要である。
 そこで、本調査研究においては、このような基本認識をもとに、「まちづくり」と「福祉」の両面から多角的な検討を通じ、新しい時代における地方行財政制度のデザインづくりを目指している。

 

 

 

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