本町には、年間5,000〜10,000人程度の観光客が訪れているが、県内では最も少ない地域のひとつとなっている。
本町の観光的な資本は、優れた自然環境にある。瀬戸内の他の島々も同様の条件にあると考えられるが、だからといって優れた自然環境自然の価値が損なわれるものではなく、本町のより優れた部分を見つめなおし、活用することが必要である。
特に、生野島の手つかずの自然環境は、闇雲に開発することを避け、今後もその環境が存続可能な、自然環境と一体的に進めることができる観光の形態を選択しながら、離島ゆえの、静かで心やすらぐ環境の中で過ごすことのできるシステムをもつ観光を推進する必要がある。
(イ)大崎上島として取り組む観光の必要
本町では、自然休養村事業が進められ、生野島においてキャビンビレッジや運動場などの施設が整備されている。
また、かんね崎には野営場があり、利用期間は限定されているが、児童・生徒のグループ利用を中心に、家族での利用客も集めている。また、生野島の港には、エゾアワビ養殖場があり、アワビの養殖の現場を見学できるとともに、施設において養殖されたアワビを購入することができる。
また、地方への発送も行っており、利用する客も増えている。このように、優れた自然環境が存在するエリアを有しているものの、町単独で対外的にアピールできる観光資源は多くない。また、島外から訪れる観光客の認識としては、東野町という自治体の存在よりむしろ大崎上島というひとつの島としての認識の方がはるかに大きいと考えられる。
また、資源性の観点から考えても、島としてみれば、本町とはまた別の観光資源や観光施設が存在し、他の2町との連携化が可能であれば滞在型の魅力ある観光地形成への展望がもてる。このため、島としての観光連携に関しての3町での機能分担(種類の違う観光資源の掘り起こし、イベントの調整・連携化など)を意識して進める必要がある。
(ウ)町民が望む観光振興
意識調査結果では、観光振興のあり方や観光振興を進める際の対策についての質問をおこなっているが、住民の約6割が何らかの形での観光振興について期待をしている。しかし、最も回答の多かったのは、観光振興は必要であるが、島の環境への影響がでない観光振興、開発を望む声であった。
世代別では、20〜30才代で、観光振興の必要性を肯定する回答が70%を越え、20才代及び50才代においては、積極的な観光振興を求める回答が40%を越えている。