契島を除く生野島や山間集落では、老年人口比率が40%を超え、急速に世帯数を減らしている。こうした地区では、集落の自治機能が低下するとともに、加速度的に人口が流出し、集落の消滅が懸念される。
65歳以上の高齢者は、昭和60年の762人から平成7年には941人へと増加し、生産年齢人口などの流出により高齢化が急速に進展している。
昭和60年から平成7年にかけての高齢者の増加数179人のうち、約半数が75歳以上の後期高齢者の増加である。
また、高齢者の一人暮らし世帯あるいは、高齢者の夫婦のみの世帯も急速に増加している。
さらに、生野島や山間地域では老年人口比率が高く、家庭、地域での介護力が低下し、高齢者の孤立型生活形態が想定される。
本町における高齢者福祉サービスの一層の充実に加えて、高齢者が安心できる定住形態を検討する必要がある。
4 農地、廃屋の増加など、地域の荒廃の進展
経営規模が小さく、加えて急傾斜の農地で営まれている農業は、農業従業者の高齢化により、脱農家が急増するとともに、耕作放棄が進んでいる。
また、世帯の流出によって空家や廃屋が発生し、集落環境の悪化や防災上の問題以上に住民の定住意向に対する影響が大きい。
5 定住意向の低下
集落内の空家の発生による定住環境の荒廃や雇用機会の減少、一人暮らし高齢者の増加などにより、住民の定住意向が減少している。
前回調査である昭和60年と今回の「住民生活と町づくりに関する意識調査」の比較では、定住意向を示した回答者が6.9ポイント減少し、移転が4.1ポイントの増加となり、徐々に町からの転出希望をもつ住民が増している。
類似調査では、地縁意識の低い大都市においても概ね60%程度の定住意向があるが、農村部では70%程度まで高まるのが一般的傾向となっている。それと比較すると本町での定住意向は低すぎる。
定住意向を高めるためには、雇用機会の開発に加えて、高齢者の介護サービスなど、安心して居住できる明確な条件提示を必要とする。