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2.今後の施策の実現に向けて

 

(1)都市観光振興施策上の留意点

 観光政策審議会は、平成7年6月観光政策の長期ビジョンとしては22年ぶりに答申「今後の観光政策の基本的な方向について」を行った。この中で21世紀のわが国の経済構造を安定的なものとし、新しい雇用を創出できるのは観光産業であり、わが国はものづくり立国からゆとり観光立国へ転換する必要があると謳っている。
 宇都宮市はものづくりの都市として大きな成果をあげてきた。しかし、21世紀にはそれに加え、観光的要素を備えた都市への変貌、言い替えれば産業環境の整備に加え、新たな環境産業の創出が将来への備えとして必要になるといってよい。本報告書は宇都宮市の観光を考察するのに予備調査研究として問題点を整理し、検討項目を洗い出し、その概略的内容を述べ、幾つかの整備方針をあげた。これらをより明確に、重点的に方向付けるためには、都市観光の実態を把握する必要がある。そのためには次のような視点があげられる。

 

 ・1 観光行動圏、行動手段、行動対象(地)の把握(特に北関東を中心に)

 

 「どこから」「何によって」「どこに来るか」などといった観光客の行動領域と手段と対象地などを宇都宮市を中心に北関東を、場合によってはより広域を対象にした実態調査により、都市観光の対象域やニーズ、時代傾向を把握し、観光基盤、観光・文化資源の整備方針を策定する。この結果を個々の施設ではターゲット設定や観光施設の内容検討などに利用し、またそれら施設間ではその連携の組立てに利用することが考えられる。

 

 ・2 観光による具体的な経済効果の把握と施策

 

 都市観光振興策とは、一つの収益性を求める企業体としての体制づくりであるといってよい。計画性に沿った各調査項目と連動した体系づくりでもある。観光経済(物販、宿泊、飲食、交通、入場、参加など)の実態を通して観光投資と経済効果を把握し、観光基盤、観光・文化資源の整備方針の組立てや民間の観光経済活動などを支援する有効な施策を策定する。

 

 

 

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