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(2)呼子町の離島の概況
ア立地・沿革

 呼子町は、佐賀県の西北部・東砕浦半島の北端に位置し、北部は玄海灘に面し、対馬海流の影響で温暖である。天然の良港をもつため西日本有数の避難港かつ漁港として発展している。背後の上芦台地は狭いが耕地率は比較的高い。
 壱岐、対弔経由で朝鮮半島へ最短距離の位置にあるため、古来、海上交通の要衝である。松浦佐用姫の伝説の地で「呼子」の地名もこれに由来するといわれる。
 旧藩時代は捕鯨が著名で、紀州1太地(現在の和歌山県太地田との交流もあり、小川島は基地を成した。
 ※松浦佐用姫:肥前の松浦の東方に住んでいたという美女。万葉集・肥前風土記にみえる。大伴金村の手狭手比古(さでひこ)が朝命により任那(みまな)救援に赴く途次これと契っ牟が、その離別に当り領巾振(ひれふり)の峰(今の鏡山)に登り、領巾を振って別れを惜しんだ。弟団姫子(おとひひめこ)。
 

イ人口・産業特性

 平成7年国勢調査で人口は6,700人、世帯は1.970、人口は平成2年に比べて305人の微減、世帯数は10の微増なっている。また、老年人口比率は21.5%と、高齢化が進む傾向にある。 産業別就業者数は3,200人(平成2年国勢調査)で、その内訳は、第1次産業25.8%、第2次産業26.1%、第3次産業48.1%と第3次産業の比率が高いが、第1次、第2次産業の比率も比較的高い。
 観光客入込数は約106万人。消費額は約36.2億円、誘致圏は福岡都市圏はじめ県内、その他九州各県が中心である。

ウ舳振興と行政対応
 (ア)離島の位置

 島嶼は、外海・ 本土近接型離島である小川島1島があり、小賀和島人口(724人)は、町総人口の11%を占める。主力産業は水産業であるが、近年本土との利便性が向上したため通勤就業もみられる。
 小川島漁業協同組合員数は127人(平成6年)、全町の6漁業組合員数の約25%を占め、生産額は約3億円(平成5年)である。観光客も約1.3万人(平成5年度)で、町全体に占めるウェイトは低いが、「イカの島づくり」を軸とした漁業振興、イベントなどで近年活性化の兆しがうかがえる。
 捕鯨の歴史、漁業の島の生活文化などよく知られた資源を有し、福岡・唐津・呼子の観光ルート上にある島として、交通条件の整備などから、一体的な振興の資質がある。

 

 

 

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