日本財団 図書館


 にあたっても実現は難しいことから、共同で交渉する必要があり、共同化や協業化を実現していくことが望ましい。さらに、経営ノウハウを蓄積して経営力の強化を図っていくことも重要である。

 ? 海陸一貫輸送とモーダルシフトの推進

   重厚長大な輸送需要に多くを望めない時代においては、輸送二一ズの多い小口多品種・多頻度の雑貨輸送に対応していく必要がある。
   実態調査からみても、運送業者に対する荷主二一ズは「小口多品種・多頻度化」や「輸送時間の短縮」が各々42%強を占めている。そのため、運送業者は「(コンテナ船・RORO船)近代化船の導入」、「運航頻度の増加」や「海陸複合一貫輸送の推進」など新しい輸送システムヘの対応を検討している。また、運命共同体である貸渡業者にあってもこれら二一ズ(近代化船の導入等)への対応を迫られている。
   このように、近代化船や高速船の導入に加え、トラック輸送やフェリー輸送に対抗できるような海陸複合一貫輸送システムを構築していくことが重要となる。現在、運輸省でもトラック輸送から海上輸送へのモーダルシフトを重要課題として取組んでおり、より効率的な輸送体系の構築が求められている。

 ? 内航船員の確保

   近年、海事産業全般において船員の高齢化や若年船員不足が深刻化しており、中でも内航海運における船員(若年労働力)の確保は極めて困難な状況から、高齢者船員を雇用することを余儀なくされている。
   今後発生する高齢者の退職、休日の増加、労働時間の短縮等を勘案すると、内航貨物船の若年船員を確保していくことが緊急な課題といえよう。

 ? 規制緩和二一ズヘの対応

   昭和63年の「第2次行革審答申」以来の規制緩和二一ズの中で内航海運では「船腹調整制度」の見直しが求められている。現在、平成8年3月の閣議決定に基づき内航海運業界としても船腹調整事業への依存を計画的に解消する必要に迫られている。同年6月に総連合は全体計画としての「環境整備の計画」、さらに、同年7月には「平成8年度の実施計画」を取りまとめ、運輸省へ提示した。
   内航海運業界としては自己資本比率の充実、グループ化・協業化の推進、船舶建造の円滑化、運賃・用船料の適正化、船員の安定的確保、輸送の効率化、取引関係の優越的地位の濫用防止と受注機会の均等化への対応が課題となっている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION